1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61870090
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小畠 陽之助 北海道大学, 薬学部, 教授 (80028092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 秀 東芝医用機器技研, 研究員
都甲 潔 九州大学, 工学部, 助手 (50136529)
吉川 研一 徳島大学, 教養部, 助教授 (80110823)
加茂 直樹 北海道大学, 薬学部, 助教授 (10001976)
川久保 達之 東京工業大学, 理学部, 教授 (10016040)
|
Keywords | 薬物センシンググシステム / 自励振動膜 / 興奮現象 / 嗅覚モデル |
Research Abstract |
嗅覚は感度が著しく高く識別能がよい。嗅覚細胞は一次受容器で 神経細胞が変形したものであり興奮性を持つことに起因していると思われる。今まで化学センサーの感度と識別能を高くする努力は主として受容サイトの開発とその膜への埋め込みに注がれてきた。本試験研究は嗅覚を手本として 興奮性の自励振動膜を用い、新しい型の薬物センシングシステムの開発とその実用化を目的として始められ、昭和61年度には以下のような結果を得た。1.陰イオン界面活性剤存在下の油一水界面で極めて再現性のよい発振現象をうることに成功し、種々の化学物質の発振への影響を系統的に調べることが出来るようになった。この膜系を、外部電気回路と接続し自励発振系を構成して、振動特性に対する薬物の影響を調べること可能である。(吉川) 2.合成脂質を多孔性フィルターに含浸した膜は外部溶液の塩濃度変化や圧力差により自励発振する。外液に脂溶性物質(苦味物質や匂い物質)が一定濃度以上存在すると振動特性が著しく影響される。これは薬物センサーとして使用可能なことを示している。(加茂) 3.膜の自励発振は、膜表面でのイオンの吸着反応についての自己触媒作用を仮定して理論的に説明することが出来る。これはコンダクタンスの異なる定常状態間に起こる非線形開放系における相転移と見なせる。(川久保) 4.また、組成の異なる溶液が刺激によって膜内に流入し、膜内脂質構造が不連続に変化すると考えても、自励発振は定量的に解析できる。(都甲) 5.片側の外液のイオン濃度がある閾値を越すと吸着反応が自励的におこりコンダクタンスが急増する現象はS字型V-1特性を持つユニジャンクション・トランジスターとコンデンサーを用いて構成することが出来る。この系は、パルス電流刺激に対するall-or-none応答や直流刺激に対するスパイク状発振も可能である。(小畠、江崎)
|
-
[Publications] N.Kamo: J.Membr.Sci.27. 233-239 (1986)
-
[Publications] K.Matsumoto: J.Theor.Biol.122. 339-345 (1986)
-
[Publications] T.Kawakubo: Biophys.Chem.23. 229-235 (1986)
-
[Publications] G.Qin: J.Phys.Soc.Jpn.55. 3308-3311 (1986)
-
[Publications] K.Yoshikawa: Biophys.Chem.24. 111-119 (1986)
-
[Publications] K.Toko: Biophys.Chem.23. 201-210 (1986)