1986 Fiscal Year Annual Research Report
組織後方散乱超音波信号の実時間解析に基づく非侵襲的心臓組織性状診断システムの開発
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61870100
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 裕 阪大, 医学部, 講師 (20127252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 泰三 大阪大学, 医学部, 医員
北畠 顕 大阪大学, 医学部, 助手 (00124769)
井上 通敏 大阪大学, 医学部, 教授 (30028401)
大村 晧一 大阪大学, 工学部, 助教授 (90029059)
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Keywords | 超音波組織性状診断 / 周波数依存性減衰特性 / インテグレイテッド・バックスキャター / 梗塞心筋 / コラーゲン含量 |
Research Abstract |
1.周波数依存性減衰特性による組織性状診断:超音波が組織を透過する際に高周波域が特に減衰する性質を利用して、この減衰の程度から組織性状を推定するものである。梗塞心筋における周波数依存性減衰傾向はコラーゲン線維の増生を未だ認めない1週目までは健常心筋と有意な差を認めないもののコラーゲン線維の増生とともに増大傾向を示し、組織コラーゲン含量を鋭敏に反映する指標であることが示された。既に、我々は後方散乱信号より周波数依存性減衰係数を推定する理論を有するが、肝臓などの大きな組織と異なり心筋壁厚の制約などのため透過信号から得られた値と若干の差が認められ、今後さらに精度よく本指標を抽出するための研究を続ける予定である。 2.インテグレイテッド・バックスキャターによる組織性状診断:超音波後方散乱エネルギー強度の定量的指標であるインテグレイテッド・バックスキャターを用いることにより未だコラーゲン線維の増生を認めない急性梗塞心筋と健常心筋とを鑑別し得、梗塞早期の微細な組織変化をも反映するパラメータであることが示された。さらに梗塞発症後4週目まで経時的に増大傾向を示すことも明らかとなった。今後、本指標が心内膜下梗塞などの心筋壁内の一部に限局する病的組織の検出に有用であるか否かにつき検討する予定である。また血液とほぼ音響インピーダンスの等しい生理食塩水と梗塞心筋組織との界面エコーすなわちspecular echoのインテグレイテッド・バックスキャターの角度依存特性は健常心筋よりも有意に大きく、梗塞心筋の心筋内組織性状変化のみならず心筋表面性状の変化をも鋭敏に抽出しうる有用な指標であることが明らかとなった。さらに、昭和61年度までにin vivo用超音波RF信号収集装置が完成したので今後、動物あるいはヒトの拍動心より得たRF信号に上記あるいは新たなパラメータを応用し非侵襲的心臓組織性状診断法の開発を行う予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 島津敬: 第50回日本循環器学会総会抄録集. 50. 135 (1986)
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[Publications] 藤原誠: 第50回日本循環器学会総会抄録集. 50. 136 (1986)
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[Publications] 島津敬: 医用電子と生体工学24(特別号). 24. 287-288 (1986)
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[Publications] 武田裕: 第6回医療情報学連合大会論文集. 6. 219-222 (1986)
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[Publications] Takashi Shimazu: Circulation(abstr)74(Suppl 【II】):. 74. 269 (1986)