Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英夫 筑波大学, 教授 (50154084)
I M デスラー メリーランド大学, 教授
ウィリアム C シャーマ ジョンズホプキンズ大学, ライシャワーセンター, アドバイザー
ナサニエル B セイヤー ジョンズホプキンズ大学, 高等国際問題研究大学院・アジア研究, 主任教授
ジョージ R パッカード ジョンズホプキンズ大学, 高等国際問題研究大学院・ジョンズ・ホプキンズ大学, 学長
信田 智人 国際大学, 日米関係研究所, 研究員 (80278043)
長尾 悟 国際大学, 大学院・国際関係研究科・助手・国際大学・日米関係研究所, 研究員 (20189103)
吉森 賢 国際大学, 大学院・国際関係研究科・教授・国際大学・日米関係研究所, 主任研究員 (20182834)
宮里 政玄 国際大学, 大学院・国際関係研究科・教授・国際大学・日米関係研究所, 主任研究員 (30044811)
|
Research Abstract |
現在, 深刻化しつつある日ー米, 日ー欧, および米ー欧間の経済摩擦を, それぞれの国の行政府, 議会, 経済界, 圧力集団等の間の相互作用の政治過程の異同に着目し, また《政治化》の過程を比較分析する. それらの比較分析を通じて, 日ー米ー欧三極間の経済摩擦のもつ政治構造的な, また制度的な問題点を明らかにし, かつパーセプションの相互のずれを指摘することを意図する. 今年度は, 隔月に研究会を行うと共に, 米国及び欧州に調査員を派遣し, 必要事項の面接調査を行った. 研究会では, 自動車, 農産物及び先端技術(主に半導体)の各貿易摩擦に関するケースが報告され, 次のような点が明らかになった. 自動車に関しては, (1)対米自主規制問題では, 1985年を境に日本側の政治過程が変化した, (2)日・EC間では, ECの1992年域内市場統合完成に関連して, 構成国の個別の対日本車規制がECレベルの規制に移行する可能性が強く, EC側は全EC市場で10%以内に抑えることを望んでいる. また, 農産物では, (1)米国の対日コメ自由化は本気だ. つまり, 他の交渉を有利に進める材料としてコメを使っているのではない. (2)米欧の穀物摩擦では, 米国, ECともにガット提訴合戦を行っているが, 今後相互に国内法に解決を求める傾向が強くなる可能性ある. さらに半導体貿易摩擦では, 安全保障問題との関連が今後の焦点となる. 一方海外調査では, 各ケースの情報収集の他, 貿易政策決定過程に関して幅広く面接調査を行った. 米国に関しては, (1)USTRの役割は思った程大きくない. (2)EPC(経済政策委員会)の役割が大きく, そこに財務省, 国務省の意向が大きく働く. (3)貿易問題は安全保障の面で制約を受ける. (4)力関係が行政府主導型から行政府と議会が接近するほどまでに変化した. (5)貿易政策に関しての政治過程は確実に変化しつつあることが確認された. また, ECに関しては, (1)欧州統合に批判的であったフランス人が, 1992年の域内市場統合について熱心である. (2)欧州議会は, ますますECの政策決定に強い影響を及ぼすとの認識が強い. (3)1992年の域内市場統合完成を予測するのは, EC委員会を除いて皆無であるが, ロビイスト等関係者は, いずれは完成すると認識しており, それに向かって行動している. (4)したがって, 今後貿易政策も域内市場統合との関係で把握する必要がある.
|