Research Abstract |
第一に, 「ソビエトにおける教育改革と児童観の変遷,のテーマにかんする, 課題と方法をめぐっての共同討論を行い, 「教育改革」や「児童観」の概念の仮説を試みた. また, 各人の分担する部分についての先行研究の吟味と史資料の収集を各人又は, 共同で行った. 第二に, 今日の日本の教育改革と, 今日のソ連邦における教育改革の提起している課題を検討, 摂取し, 本共同研究が負っている社会への責務を自覚した. そのさい, ソ連邦から来日した教育科学アカデミー副総裁ズベーレフ博士と教育大学学長ジャジューン博士との教育改革をめぐる卒直な論議は, とくに, 有益なものであった. 第三に, 教育改革と経済及び社会の発展との関係, 全面発達理論における児童観の位置づけ, ヴィゴッキー心理学理論における発達観と児童観などについて, 具体的論稿をまとめ, 公刊発表した. また, 共同研究者や協力研究者の多くが, 1987年10月に北海道大学において開催された第31回教育史学会他において, 本研究テーマにかかわる研究発表を行っている. 第四に, 幼年期や少年期をロシア・ソビエトにおいて, 家庭教育や学校教育をうけて, 今日, 種々の理由で日本に在住しているロシア人の人びとから実際に, ロシアやソビエトで受けた教育体験についてききとり調査を行い, 一部, 録音, 録画されたものの分析を行った. 他方, ようやく探しあてたロシア人に面談を拒否されたり(引つづき努力中であるが), 老人病のための入院など困難も多い. ききとり調査が出来たものからは, 家庭でのきびしいしつけなどを通して当時の親の児童観を探る手がかりも得ている. 来年度は, 当初予定し残された課題を研究し, 研究成果を分刊する予定である. すでに, 今年度の研究成果に基づき文部省出版助費の申請を行った.
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