1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62301048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷川 道雄 京都大学, 文学部, 教授 (90022342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夫馬 進 京都大学, 文学部, 助教授 (10093303)
森 正夫 名古屋大学, 文学部, 教授 (00036641)
気賀沢 保規 富山大学, 教養部, 教授 (10100918)
砺波 護 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10027534)
吉川 忠夫 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30026801)
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Keywords | 中国 / 辺境社会 / 歴史 / 中央 |
Research Abstract |
本年度は当研究の最終年度にあたるため、研究会を継続して開くことによって各研究分担者が個別のテーマからなる研究報告をおこない、これをもとに討論を重ねた。そして各研究分担者は論文を作成した。 以上の作業によって得られた新たな知見は、主に次の諸点である。 1.春秋時代に呉・越が興起した原因の1つとして、中原の経済が活性化し、これが呉・越に刺激を与えたことをあげられる。また、「越絶書」が作られた原因の1つとして、中央の文化に対して辺境地方の人々が自覚的に地方性を強調しようとしたこと、をあげることができる。 2.漢代、玉門関に置かれた玉門都尉と玉門侯官は、同一地点に置かれたのではない。 3.魏晋の時代に、遼西・遼東地方は中央に対抗しうる力を蓄える。これは、中央が地方へ及ぼす影響力を弱めるとともに、周辺民族の侵入を防ぐためにこの地方で自立化がはかられたためである。 4.六朝時代、中原地方から辺境社会福建への移民は、江南を経由した。 5.嶺南の欧陽氏は、南海貿易による利益をもとに、辺境社会にあって文人や学術(仏教)を保護した。 6.唐代後半には、都長安の近辺も辺境となる。 7.唐代では、全銀は中国と外国の接点である辺境社会で特に重要視されていた。 8.ウォーラーステインが唱えた「辺境化」の概念は、中国の近代を把握するうえでも有益であるが、バスーが唱えた「ピジン化」論は、さらに検討を加え、内容を豊かにすることができる。
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Research Products
(26 results)
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[Publications] 谷川道雄: 栗原益男先生古稀記念論集『中国古代の法と社会』. 385-398 (1988)
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[Publications] 谷川道雄: 文明. 55. (1989)
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[Publications] 江村治樹: 名古屋大学文学部研究論集104(史学35). 104. (1989)
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[Publications] 吉本道雅: 史林. 71-6. 70-105 (1988)
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[Publications] 吉川忠夫: 東方学報. 60. 481-484 (1988)
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[Publications] 吉川忠夫: 東洋学術研究. 27別冊. 11-34 (1988)
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[Publications] 吉川忠夫: 東洋史研究. 47-3. 1-25 (1988)
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[Publications] 中村圭爾: 人文研究(大阪市立大学文学部紀要). 40. (1988)
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[Publications] Tonami,Mamoru.: ACTA ASIATICA. 55. 27-47 (1988)
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[Publications] 砺波護: 週刊朝日百科 世界の歴史. 1. 26-29 (1988)
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[Publications] H.Otagi: Acta Asiatica. 55. 1-26 (1988)
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[Publications] 愛宕元: 人文(京都大学教養部). 35. 1-39 (1989)
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[Publications] 気賀沢保規: 佛教藝術. 179. 87-105 (1988)
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[Publications] 気賀沢保規: 佛教藝術. 179. 106-125 (1988)
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[Publications] 気賀沢保規: 書論. 25. (1989)
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[Publications] 竺沙雅章: 仏教史学研究. 31. 25-46 (1988)
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[Publications] 森正夫: 名古屋大学東洋史研究報告. 13. 87-115 (1988)
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[Publications] 森正夫: 名古屋大学文学部四十周年記念論集. 7-33 (1988)
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[Publications] 森田憲司: 東洋史研究. 47-3. 26-45 (1988)
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[Publications] 河内良弘: 民族の世界史. 11. (1989)
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[Publications] 河内良弘: 京都大学文学部研究紀要. 27. (1989)
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[Publications] 夫馬進: 明末清初期の研究(京都大学人文科学研究所共同研究報告). (1989)
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[Publications] 森正夫: 明末清初期の研究(京都大学人文科学研究所共同研究報告). (1989)
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[Publications] 谷川道雄・網野善彦: "交感する中世ー日本と中国ー" 296 (1988)
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[Publications] 吉川忠夫: "弘明集・広弘明集 訳" 中央公論社, 438 (1988)
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[Publications] 森 正夫: "明代江南土地制度の研究" 株式会社同朋舎出版, 798 (1988)