1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62301060
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Research Institution | College of Arts and Sciences,University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 良雄 東京大学, 教養学部, 教授 (60012465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持田 公子 東京大学, 教養学部, 助教授
岩佐 鉄男 東京大学, 教養学部, 助教授 (50203360)
小林 康夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (60153623)
船曳 建夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (90165457)
横山 正 東京大学, 教養学部, 教授 (80012417)
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Keywords | 空間構成 / 透視図法 / 劇場建築 / 庭園 / コンピューター / グラフィックス / マルセル・デュシャン / 都市図 / 近代美術 |
Research Abstract |
二年間にわたった今回の研究の成果を、われわれが採用した研究組織に応じて概括すると、次の通りである。1.西欧的空間構成、この分野におけるわれわれの研究は、イタリア・ルネッサンスに始まる《透視図法》の空間が、どのように成立し、またどのようにその後の西欧文化の歴史を貫いて機能したかを解明することを中心にして行われた。第一には《透視図法》の成立が、多くの文献資料の読解に基づいて進められ、現代哲学の見地からのその意味付けが明かにされた。第二には、その空間構成が、その後の西欧文化をどのように支配したかが、具体的な劇場建築、絵画、現代美術作品(とりわけマルセル・デュシャン)などの詳細な分析を通して解明された。2.非西欧的空間構成、(1)この分野においては、もっぱら日本の大正・昭和初期時代における絵画空間の大きな変容を、洋画と日本画との両領域にわたって、対比的に研究することによって、日本的な空間と西欧的な空間との葛藤の関係を、日本の近代化という歴史的な文脈のなかで記述し、解明することが中心になった。(2)また、それと並行して、日本における《透視図法》的な空間の例として《町並み》の絵図の空間構成の特質を把握する試みの基礎研究が行われた。(3)共通領域(1)この分野では、《庭》という空間が大きなテーマとして設定され、そのもとで、東西の文化における庭園の空間と文学との関係、また庭園と自然(森)との関係、庭園と建築(茶室)との関係などが、比較文化論的観点ならびに建築文化論的な観点から研究された。(2)また、それ以外にも、東欧の教会の空間の問題が提起され、比較文化的研究の新しい局面が開かれた。なお、以上の研究成果の一部は、東京大学教養学部美術博物館において展示発表され、研究成果の新しい発表方法の開発という副次的な目的も充分に達成された。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 阿部良雄: 現代思想. 16-13. 190-196 (1988)
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[Publications] 中村義一: 京都教育大学紀要. 71. (1988)
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[Publications] 中村義一: 京都教育大学紀要. 70. 83-98 (1987)
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[Publications] 横山正: 美術博物館ニュース. 23. 1-4 (1987)
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[Publications] 福田晴虎: 稲垣栄三教授還暦記念献呈論文集. (1988)
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[Publications] 小林康夫: 現代思想. 16-7. 156-167 (1988)
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[Publications] 岩佐鉄男: 外国語科研究紀要. 36. (1989)
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[Publications] 芳賀徹: 芸術新潮. 39-11. 64-66 (1988)
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[Publications] 義江彰夫: 比較家族史研究. 3. (1988)
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[Publications] 横山正: "ヨーロッパの庭園" 講談社, 1-191 (1988)
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[Publications] 持田公子: "生成の詩学" 新曜社, 1-285 (1987)
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[Publications] 小林康夫: "無の透視法" 書肆 風の薔薇, (1989)