1988 Fiscal Year Annual Research Report
外国判決・仲裁判断の承認・執行法の改正に関する比較法的及び実証的研究
Project/Area Number |
62301064
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西 賢 神戸大学, 法学部, 教授 (70030608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 美明 大阪大学, 法学部, 助教授 (20144420)
渡辺 惺之 大阪大学, 法学部, 助教授 (30032593)
松岡 博 大阪大学, 法学部, 教授 (30028013)
小原 善雄 神戸大学, 法学部, 教授 (60108420)
中野 貞一郎 大阪大学, 法学部, 教授 (50027992)
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Keywords | 外国判決の承認 / 西ドイツ民事訴訟法328条 / 国際私法の改正 / 公序 / 英国1982年民事管轄権及び判決法 / イギリス住所法 / 郵便による直接送達 / 翻訳のない送達 |
Research Abstract |
外国判決・仲裁判断の承認・執行法の改正に関する比較法的及び実証的研究の本年度は外国人事・非訟判決の承認・執行に重点を置く。 わが法例の改正は婚姻・親子関係に限定して推進され、裁判管轄権及び外国判決の承認は取り上げない。一九八六年の西ドイツ国際私法の改正は主として実質法に集中し、国際訴訟事項も少数の規定が改正された。外国判決の承認に関しては、民事訴訟報三二八条の改正により、令状送達は内外人の差別を廃し、抵触判決がなく以前の手続が開始しないことを要件とし、憲法上の基本権を公序の一般枠組に入れ、相互性を非財産的事件から外した。西ドイツではさらに非訟事件に関する法律一六条a号及び婚姻離婚に関する一九六一年家族法改正法七条一項の規定があり、日本法との比較において考慮しなければならない。 英国における外国判決承認法の重要な進展は、住所概念の新しい変容である。一九八二年の民事管轄権及び判決法の四一条以下の規定によって個人及び法人又は団体の住所は、ブラッセル条約の適用上、大陸法の概念に接近した。身分に関しては、一九八七年の法委員会及びスコットランド法委員会の住所法に関する報告書において、本源住所は廃止し、子は当分の間最も密接に関連している国に住所を有するとされ、成年者の新住所取得のために必要な意思は、当該国に不特定の期間定住する意思の証明で足りるとされる。 外国判決の承認に関し、関係者に対する送達が直接になされる場合に、郵便による送達は、受送者に防御を準備させるために翻訳のない送達を無効とする見解が強いが、昭和五一年一二月二一日の東京地裁判決のごときフランス語の訴状の送達はともかく、国際化の時代に少なくとも英語についてはかかる送達の効力を認めるべきであろう。
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[Publications] 西賢: 国際法外交雑誌. 87. 1-35 (1988)
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[Publications] 松岡博: 家事審判事件研究. 2. 229-256 (1988)
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[Publications] 芹田健太郎: 判例タイムズ. 678. 12-22 (1988)
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[Publications] 中野俊一郎: 神戸法学雑誌. 38. 29-127 (1988)
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[Publications] 中野俊一郎: 神戸法学雑誌. 38. 353-481 (1988)