1988 Fiscal Year Annual Research Report
台湾経済発展に関する理論的実証的総合研究-東アジア経済の発展と展望な関連づけて
Project/Area Number |
62301074
|
Research Institution | TOKYO KEIZAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
劉 進慶 東京経済大学, 経済学部・教授, 学部長 (30096458)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅谷 三喜男 社会保障制度審議会, 会長 (80012095)
村岡 輝三 新潟大学, 経済学部, 教授 (60089977)
|
Keywords | NIEs / 資本主義的発展 / 半周辺 / サブシステム / 産業資本 / 華僑資本的性格 / 海外投資 / 産業の空洞化 |
Research Abstract |
本年度は当初の計画通り、研究会を5回(延べ7日間)行ない、7つのテーマについて研究討論を行なった。終年度としてえられた新たな知見と成果をまとめると、つぎの4点である。 1.台湾経済はNIEs的発展をとげたが、内部から考察すると、資本主義的発展の概念範囲で把握できることが確認された。いいかえれば、日本資本主義を分析した方法で大体台湾経済をも分析できることである。 2.しかし、今日の世界史的条件はすでに20世紀前半のそれとはちがい、台湾資本主義は大きく外国資本および国際本場に依存する形でしか経済発展をとげることがてぎない。したがって、一国資本主義的分析では把えきれない。別の角度からみれば、国民経済としての台湾経済は、世界経済のサブシステムとして動いている。この意味ではウオーラーステイン(Wallerstein,Immanuel)の世界システム視点から台湾経済を把えてみる必要がある。この視点はNIEsの分析に一般化できる。 3.そこで台湾資本主義の特徴を考えると、端的にいって華僑資本的である。いわゆる華僑資本の特徴とは、第一に個人と家族を中心とする中小経営であること、第二に流通、金融の資質に優れていること、第三に国際性、移動性、そして非政治性であることである。いいかえれば、中小企業でありながら国際市場を舞台にして活躍する、活気に満ちた経済である。これが台湾経済の特徴でもある(非ナショナリスチック)。 4.その結果、現段階の台湾資本主義は、産業資本の確立がみられるが、つぎの発展段階である金融資本への移行が進まない状態のもとで、資本輸出(海外投資)がはじまり、産業の空洞化現象がおきている。展望としては、工業化が一段と進むのではなく、国際貿易・金融のサービス部門へと産業の重心がシフトする動向がみられる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 劉進慶: アジア経済. 6号. 25 (1989)
-
[Publications] 村岡輝三: アジア経済. 6号. 25 (1989)
-
[Publications] 隅谷三喜男: アジア経済. 6号. 25 (1989)
-
[Publications] 隅谷三喜男、劉進慶、村岡輝三: "NIEs・台湾の経済(仮題)" 東京大学出版会、UP選書, 300 (1990)