1987 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の後期発生時における代謝調節機構,とくに蛋白質の転写後修飾についての研究
Project/Area Number |
62304009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大西 英爾 名古屋大学, 理学部, 教授 (60022521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 興亜 名古屋大学, 農学部, 助教授 (50023411)
高橋 進 山口大学, 教養部, 教授 (90022665)
富野 士良 東京都立大学, 理学部, 教授 (30101075)
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
芽野 春雄 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (00012253)
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Keywords | 昆虫 / 後期発生 / 代謝調節 / 転写後修飾 |
Research Abstract |
昆虫には変態や休眠という特異な現象がみられ,またこれらの現象が脱皮ホルモンなどによって支配されることから生理学あるいは生化学の興味深い材料となっている. 変態や生体防御に関連する系として,大西,芦田,山崎らはフェノールオキシダーゼ系を研究している. 大西は,カイコ体液のフェノールオキシダーゼが酵素前駆体より限定分解によって活性化される際の作用点についてアミノ酸配列を研究している. 芦田はザイモサンなどによる活性化の引金から限定分解に至るカスケードの全容をほぼ解明した. 山崎はクチクラの硬化着色に関与するラッカーゼ系の活性化機構を解析し,これもまた前駆体の限定分解によることを示した. 富野らはクチクラに特異的なタンパク質のcDNAをクローン化し,これが変態時に特定の時期に発現していることを示した. 名取らはニクバエ幼虫の傷害時に発現するレクチンを分析し,これがふたつのサブユニットから構成されている六量体であり,胚おより蛹期にも発現していることを示し,正常発生時にも何らかの役割を果していることを示した. 景山はカイコ卵から酸性プロテァーゼを合離しその性質を調べた. 山下らは卵特異的タンパク質がその特異的プロテァーゼの作用で段階的に限定分解を受けることを見出した. 高橋はカイコの卵黄タンパクであるビテリンおよびその前駆体のビテロジェニンの燐酸化が,そのプロテアーゼによる加水分解の感受性に影響を与えることを示した. 芽野らはバッタの飛翔時に分泌されるアディポキネティックホルモンが,体液の脂肪輸送に関与するリポフォリン(apo I + apo II)の密度を変化されることを示し,この際第3のコンポーネント(apo III)が加わることを示した. これらの結果は,昆虫の機能タンパク質が限定分解,燐酸化,解離会合などによって巧妙に調節されていることを示している.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] E.Ohnishi: Zoological Science. 4. 315-321 (1987)
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[Publications] Xian-ming Qu;Chu-fa Zang;H.Komano;S.Natori: J.Biochemistry. 101. 545-551 (1987)
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[Publications] S.Izumi;K.Yamasaki;S.Tomino;H.Chino: J.Lipid Research. 28. 667-672 (1987)
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[Publications] N.Sakai;S.Mori;S.Izumi;K.Haino-Fukushima;T.Ogura;M.Maekawa;S.Tomino: Biochimica Biophysica Acta. (1988)
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[Publications] L.S.Indrasith;T.Furusawa;M.Shikata;O.Yamashita: Insect Biochemistry. 17. 537-545 (1987)
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[Publications] S.Y.Takahashi: C0mparative Biochemistry and Physiology. 87(B). 255-266 (1987)