1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62304014
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 和之 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10143190)
山崎 耕宇 東京大学, 農学部, 教授 (30011878)
県 和一 九州大学, 農学部, 教授 (00091364)
津野 幸人 鳥取大学, 農学部, 教授 (00036287)
中世古 公男 北海道大学, 農学部, 教授 (80001452)
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Keywords | 作物 / 器官相互関係 / 根 / 茎葉 / 光合成 / 分配 / 蓄積 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
本年度は本総合研究の最終年度であるので、昭和62,63年度に得られた成果を基礎に、作物体諸器官の相互関係のうちとくに根と地上部の関係を中心にして研究を行うと同時に、研究分担者独自の問題の展開も計り以下の結果を得た。老化と密接に関係することが明らかとなった出液中のサイトカイニンを、光合成からみて葉身の老化の異なる水稲2品種で比較したところ、出穂期以降老化のおそい品種の出液中のサイトカイニン濃度および出液を通じて地上部へ送られるサイトカイニン量が明らかに高いことを認めた(石原)。エスレル処理によってダイズの根群の分布には大きな相違はなかったが、水ストレス下の光合成速度はエスレル無処理に比べて低下程度が小さい傾向があった。しかし、この影響は子実収量にプラスの影響は与えず、むしろエスレル処理の収量がやや低くなった(中世古)。土壌水分の異なる条件で生育したコムギの地上部諸器官の相互関係は著しく異なったが、1次根数と分げつを含めた個体全体の葉数との関係は生育条件に関係なく一定であることを認めた(山崎)。サツマイモの地上部・地下部関係はチッ素、カリ施用量によって著しく変化するが、光合成速度を高く維持するにはカリとチッ素の比率が重要で、このことが塊根重の増加とも密接に関係していた(県)。ラッカセイの根重の発達は胚軸径の大小によって、イネの根は土壌水分およびその管理の方法によって著しく影響を受け、根と地上部の相互関係も変化することを認めた(渡辺・河野)。この他、イネの登熱過程が高低夜温下の影響を受ける時、粒重の増加に対して玄米中のアンモニア濃度が阻害的に作用すること(津野);トリアコンタノ-ルの葉面散布によって、葉の蛋白分解を抑制し穀粒へのチッ素の転流を抑制すること(折谷)が明らかにされた。また電顕によって葉身、葉鞘、茎の光合成関連組織・細胞・細胞器官の特徴を比較した(長南)。
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[Publications] 石原邦: "水稲アケノホシと日本晴における稈基部からの出液速度と出液中サイトカイニンについて" 日本作物学会関東支部会報. 4. 23-24 (1989)
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[Publications] 石原邦: "水稲アケノホシと日本晴における切断葉身のクロロフィル含量の低下の比較" 日本作物学会関東支部会報. 4. 25-26 (1989)
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[Publications] 平沢正: "生育前半に異なる土壌水分条件に生育したダイズの生育および生理・生態的性質の比較-開花期以後を低土壌水分条件にした場合-" 日本作物学会関東支部会報. 4. 79-80 (1989)
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[Publications] 根本圭介: "水稲の茎における伸長と肥大の相対生長" 日作紀. 58. 55-59 (1989)
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[Publications] 森田茂紀: "水稲における茎直径の簡便な推定方法" 日作紀. 58. 143-144 (1989)
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[Publications] 根本圭介: "水稲1次根の直径および数と茎の直径との関係、とくに異なる品種についてみた場合" 日作紀. 58. 440-441 (1989)
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[Publications] 李建民: "コムギの茎軸上における1次根の形態の向頂的推移" 日作紀. 58(別1). 208-209 (1989)
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[Publications] 根本圭介: "イネ主茎葉の生長曲線のパタ-ン" 日作紀. 58(別2). 191-192 (1989)
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[Publications] 姜始龍: "水稲における1次根ならびに分枝根の形態的諸形 質問の相互関係" 日作紀. 58(別2). 251-252 (1989)
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[Publications] 馬場正: "トウモロコシ主茎軸上の各器官の大きさの推移について" 日作紀. 58(別2). 253-254 (1989)
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[Publications] 中世古公男: "エスレル処理によるダイズの地上部および根の形態変化と光合成ならびに水ストレスとの関係" 日作紀. 58(別1). 178-179 (1989)
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[Publications] 松田智明: "水稲下位節間の挫折抵抗力に対する浸透圧および移動デンプンの意義IIIプラスチドの形態および組織細胞における存在状態" 日本作物学会関東支部会報. 4. 41-42 (1989)
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[Publications] 土屋哲郎: "ジャガイモ塊茎の肥大にともなうプラスチドの構造変化" 日作紀. 58(別1). 230-231 (1989)
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[Publications] 渡辺和之: "ラッカセイにおける根系の形成と生育・収量との関係 第2報 根重の多少と結実期の時期別水ストレス耐性" 日作紀. 58(別2). 39-40 (1989)
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[Publications] 渡辺和之: "環境ストレス下におけるラッカセイの生育反応 第5報 結莢圏および根圏の土壌環境の影響とその品種間差異" 日本作物学会関東支部会報. 4. 75-76 (1989)
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[Publications] 渡辺和之: "ラッカセイにおける根系の形成と生育・収量との関係 第3報 胚軸径制御による生育反応の品種間差異" 日本作物学会関東支部会報. 4. 77-78 (1989)
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[Publications] Iijima,M.: "Divelopment of a device for estimating penetration resistance of the soil in the root box" Environ.Control in Biol.
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[Publications] Iijima,M.: "Mutual relationship between patterns of soil penetration resistance and root radial expansion growth of up-land rice." Environ.Control in Biol.
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[Publications] Pardales Jr.,J.: "Development of sorghum root system components under increasing drought stress" Japan.Jour.Crop Sci.
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[Publications] 折谷隆志: "水稲各品種における時期別施肥窒素が収量と収量構成要素に及ぼす影響" 北陸作物学会報. 24. 15-16 (1989)
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[Publications] 折谷隆志: "水稲の生育と登熟に及ぼすトリアコンタノ-ルの効果" 北陸作物学会報. 25. 46-50 (1990)
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[Publications] 津野幸人: "低夜温による水稲光合成の低下と根の活力との関係" 日作紀. 58. 598-604 (1989)
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[Publications] 津野幸人: "大豆における根部の呼吸速度と蒸散および光合成との関係" 日作紀. 58(別1). 126-127 (1989)
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[Publications] 津野幸人: "大豆葉の調位運動の解析" 日作紀. 58(別1). 188-189 (1989)
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[Publications] 津野幸人: "水稲の登熟過程における玄米中のアンモニア濃度と粒重の関係" 日作紀. 58(別2). 159-160 (1989)
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[Publications] 津野幸人: "水稲葉身の珪酸および石灰含有率と珪化機動細胞形成との関係の数式的解析" 日作紀. 58(別2). 201-202 (1989)
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[Publications] 飯塚恵治: "甘藷個葉の光合成速度支配要因の解明に関する研究 1.接木処理が一葉挿し植物のシンク・ソ-ス関係と物質生産に及ぼす影響" 日作紀. 58(別1). 96-97 (1989)
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[Publications] 窪田文武: "甘藷個葉の光合成速度支配要因の解明に関する研究 2.気孔開度の測定法について" 日作紀. 58(別1). 98-99 (1989)
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[Publications] 窪田文武: "甘藷個葉の光合成速度支配要因の解明に関する研究 3.気孔開度特性が品種の光合成速度と蒸散速度に及ぼす影響" 日作紀. 58(別1). 100-101 (1989)
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[Publications] 河野恭広: "土壌要因と形態、環境と形態、松尾孝嶺編「イネの科学(仮題)」形態編" 農山漁村文化協会,