獣医画像診断における超音波特殊診断法の確立に関する研究

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62304029
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 戸尾 祺明彦 北海道大学, 獣医学部, 教授 (70001526)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 菅沼 常徳 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (50063970) ; 萩尾 光美 宮崎大学, 農学部, 助手 (20128359) ; 山田 明夫 帯広畜産大学, 獣医学科, 助教授 (20003113) ; 橋本 晃 岐阜大学, 農学部, 助教授 (70021706) ; 籠田 勝基 鳥取大学, 農学部, 教授 (80091437)
• Keywords: 獣医超音波診断 / 乳房炎 / 間接炎 / 腎結石 / 尿石症 / 頭蓋内エコー / 頸静脈炎

Research Abstract

前年度に引続き各分担において基礎ならびに応用的検討さらに症例の追加を試みた。大動物を主としたが実験小動物も検討した。現在まで得られた成績の概要は以下の如く要約される。
1.牛乳房について、膿瘍形成例の触知不能の深部および小疾巣について明瞭な映像が得られ早期診断が可能であった。びまん性乳房炎では細線状エコーが慢性例で高頻度に描出され組織変化との関連が伺われた。乳頭損傷では内部乳管の損傷度が明確に診断し得た。
2.腹腔内腫瘍の標的器管として骨盤付近の腸骨大腿リンパ節と内側および外側腸骨リンパ節の映像化を試みた。牛健常例では困難を伴うが、逆に病的に腫大した場合その描出は容易で、BLV抗体陽性牛について追跡中である。腎臓および後大動脈周辺も定査したが映像化は困難。
3.腎臓結石および尿石症の牛の例で、腎結石では貝殻状結石エコー(腎杯を充す結石)、斑状結石エコー(10mmまたは1.5mmの結石の単在または十数個集積)および点状エコー(米粒大または0.5mm大の結石の単在と集積)を区別し得、腎結石の的中率は93.6%と高く尿石症の早期診断に有用であった。
4.牛の前後肢の軟部組織の横断面を直接法と間接法によって映像化した。皮膚は高エコー、各筋の腱と周辺の皮下織はエコーフリーないし低レベルおよび靱帯は線状の高エコーであった。間接法がすぐれ、胃の評価は出来なかった。関節周辺の異常像は目下集収中である。
5.牛の頸静脈怒張、頸静脈炎、食道拡張と梗塞、宗腺腫などについて特徴的エコー像を得た。耳下腺や甲状腺も映像化が可能であった。
6.子牛と犬の頭蓋内映像を開頭例とともに検討し解剖学的構造との対比をし、無脳症などの例の診断が可能であった。
7.ウサギ胎子・胎盤の発育過程を見異常例の診断基準を検討した。

Research Products

• [Publications] 山田明夫・宮原和郎・井上千春・亀谷勉: 日本獣医師会雑誌. 41. 709-713 (1988)
• [Publications] 橋本晃・工藤忠明・奥田恭之: 岐阜大農学部研究報告. 53. 403-412 (1988)
• [Publications] 橋本晃・工藤忠明・奥田恭之: 獣医画像診断. 1. 17-23 (1987)
• [Publications] 森井啓二・安田準・戸尾祺明彦: 獣医画像診断. 1. 9-16 (1987)
• [Publications] 武田忠義・安田準・戸尾祺明彦: 獣医画像診断.
• [Publications] 山我義則・須藤治郎・村上光一・籠田勝基: 獣医画像診断.