1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62304037
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 康浩 名古屋大学, 医学部, 教授 (90022805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 章夫 山梨医科大学, 教授 (40020747)
池田 正之 東北大学, 医学部, 教授 (00025579)
原 一郎 関西医科大学, 教授 (10148497)
小野 雄一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (80135334)
久永 直見 名古屋大学, 医学部, 講師 (90111856)
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Keywords | 有桟溶剤中毒 / 症例 / 職業性中毒 / 慢性中毒 / 神経障害 / 全国的収集 |
Research Abstract |
日本における有桟溶剤中毒の発生状況, 有桟溶剤の使用と暴露の実態, 臨床所見の特徴などを明らかにするために, 調査用紙を作成し, 産業衛生学会有桟溶剤中毒研究会参加者, 有桟溶剤中毒事例を報告している臨床医, 特殊健康診断を行っている桟関, 労災病院などに配布して中毒症例を収集した. 現在までに60名の報告者から122例の症例がよせられた. これらの症例の調査項目をコード化してコンピューター集計用のデータベースの作成と単純集計を行った. 122例中業務起因性およびその疑いのある症例は98例であった. 中毒の種類は慢性中毒66例(67.3%), 亜急性中毒14例(14.3%), 急性中毒18例(18.4%)であった. 職種別では塗装22例(33.4%), 洗浄13(19.7%), 接着10例(15.1%)が多いものであった. 暴露された溶剤ではトルエン34(51.5%), キシレン19(28.8%), トリクロロエチレン17(25.8%), 酢酸エチル14(21.2%), nーヘキサン13(19.7%), メチルエチルケトン13(19.7%), メタノール12(18.2%), アセトン11(16.7%)などが多く含まれていた. 慢性中毒の臨床所見では中枢神経障害35(53.0%), 末梢神経障害27(40.9%), 脳神経・自律神経障害17(25.8%)など神経系の障害がもっとも多くみられた. 肝障害,腸管のう腫様気腫などの消化器障害も16(24.2%)例に認められた. 血液系障害は3(4.5%)例のみであった. 患者の職場環境では定期的な環境測定, 局排装置の設置は半数以上が行なっておらず, 有桟溶剤の特殊健康診断も大部分が受診していなかった. 現在さらに中毒症例の収集とその解析の準備を行っている.
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[Publications] Kasahara,M et al: Industrial Health. 25. 205-214 (1987)
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[Publications] 久永直見他: 労働の科学. 43. 30-35 (1988)
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[Publications] 黄健他: 産業医学.
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[Publications] 竹内康浩;和田攻編: "産業保健マニュアル, 10.企業・作業別保健のすすめ方(7〜11)" 南山堂, 249 (1987)