Research Abstract |
本研究の目的は, 江戸時代版本挿絵の効率的検索法の確立にある. 本研究では, 画像データベースシステムと文字情報データベースシステムの完全分散処理方式を採った. 入力画像はCH紙B5判及びB6判の二種とし, 26桁の画像IDと書名を付した. 26桁は, 通し番号8桁, 作品番号8桁, 作品内挿絵番号8桁で構成する. 画像は, 光ディスクに入力. 画像のキーワードは挿絵中に描かれている物の名の他, 絵の主題, 場面, 状況, 動作行為をも採ることとした. 但し, 物体の部分名称は, その物体名から検索が可能なことが多いので, 特別な場合を除きキーワードとしなかった. 他に書誌情報(書名, 作者名, 絵師名, 刊年, 所蔵者, 請求記号)も文字情報として加えた. 本研究で開発したシステムは次のように構成されている. 文字情報データベースシステムは, パーソナルコンピュータ上において, 汎用のデータベース管理ソフトウェアである「dBASEIII」を中核として, 検索操作等をより簡便に行うためのユーザーインタフェイスを独自に開発した. その主たる機能は, 文字情報登録, 修正機能, 文字情報研索機能, 画像データ表示指示機能である. 次に, 画像データベースシステムは, 大量データの蓄積能力及び高速な画像データ処理能力を要することから, 当館で保有する大型計算機上に独自開発した. その主たる機能は, 画像データ入力機能, 画像データ表示機能である. システム操作の大部分は, 挿絵に関するキーワード(文字情報)の登録・修正とキーワード検索に基づく画像データ表示指示であるが, 上記の如く, 分散化によって, これらの操作は全てパーソナルコンピュータ上で行うことができるため, 極めてコンパクトで, 且つ柔軟性に富むシステムとなっている.
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