1987 Fiscal Year Annual Research Report
CIDNP検出電子スピン共鳴法の開発および短寿命常磁性化学種の研究
Project/Area Number |
62430001
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安積 徹 東北大学, 理学部, 教授 (90013490)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 正秀 東北大学, 理学部, 助手 (00188674)
|
Keywords | CIDNP / 化学反応 / 光化学反応 |
Research Abstract |
CIDNPを用いて, 光化学反応の機構を解明することが可能となった. 本年度の研究の主要な成果は次の通りである. 1.カルボニル化合物によるキサンテンからの水素引き抜き反応 キサントン(XO)ーキサンテン(XH_2)混合物を光照射し, CIDEPを測定すると, ラジカル対機構にもとづくE/A型に分極した. XHと・XOHラジカルが約0.2対1の割合で検出した. しかし, その複雑な超微細構のため, このCIDEPスペクトルからだけでは両ラジカルの正確なg値や反応を理解する上で重要な最終生成物を知ることはできない. そこでCIDNPを用いて更に反応を検討した. その結果,反応機構を完全に解明することができた. 2.CIDNPのenhancement factorの決定 CIDNPの定量的議論を行う場合, 分極がどの位あるかという, いわゆるenhancement factorを正確に知る必要がある. CIDNP信号の時間発展を測定することによりこの因子を決定する方法を考え出した. その方法を, 過酸化ベンゾイルの光分解でベンゼンを生ずる反応に適用した. その結果, enhancement factorとして39という値が得られた. 更に, 緩和時間の測定から, 生成したのはベンゼンではなく,溶媒からの重水素と置換したモノ重水素置換体であることもわかった. 3.CIDNP信号のフリップ角依存性 熱分布状態にある系のNMR信号は,定常法とパルス法と同じ結果を与えるが, CIDNP信号では両者に差がある. 原理的にはフリップ角がゼロの極限でのみ両者が一致する. この問題を実験的に確認することができた. また, フリップ角依存性を用いると, スペクトルの同定が上り確実になることもわかった.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M. Terazima; S. Takahashi; K. Maeda; M. Sugawara; T. Azumi: Journal of Physical Chemistry.
-
[Publications] S. Takahashi; M. Terazima; T. Azumi: Journal of Physical Chemistry.
-
[Publications] M. Terazima; S. Takahashi; K. Maeda; M. Sugawara; T. Azumi: Journal of Physical Chemistry.