1990 Fiscal Year Annual Research Report
紫外共鳴ラマン分光による調節蛋白ー遺伝子相互作用とその動的過程
Project/Area Number |
62430004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 一誠 東北大学, 薬学部, 教授 (70011583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外山 聡 東北大学, 薬学部, 教務職員 (60217560)
橋本 慎二 東北大学, 薬学部, 助手 (50192696)
内多 潔 東北大学, 薬学部, 助手 (70129352)
竹内 英夫 東北大学, 薬学部, 助教授 (30111454)
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Keywords | 紫外共鳴ラマン分光 / 調節蛋白 / 蛋白ー核酸相互作用 |
Research Abstract |
1.cAMP受容タンパク質(CRP)に種々の割合のcAMPを加えたラマンスペクトルを測定すると,cAMP添加により主鎖のアミドのバンド形が変化した。この変化を詳しく解析することにより,cAMP結合に伴うCRPのアロステリックな構造変化が非常に大きいことを見い出した。 2.CRPのラマンスペクトルが,その構成する芳香族アミノ酸のスペクトルの和では再現できないという現象が観測できた。チロシンのモデル化合物の溶媒効果の結果,側鎖が疎水環境にあるとバンドの強度が約2倍になることを見い出した。これより,CRPでは,3〜4個のチロシン側鎖が疎水的な環境にあることがわかった。 3.CRP中のトリプトファン側鎖は,全て親水環境にあり,C_β-C_3のねじれ角の平均は100゚であることがわかった。この結果は,結晶状態や濃厚溶液状態で得られた結果と異なっており,結晶状態などではタンパク分子間の相互作用によりトリプトファンのコンフォメ-ションが変化していると考えられる。 4.CRPに取り込まれたサイクリックヌクレオチドは,266または253nmを励起光とすることで,そのラマンスペクトルを選択的に観測できた。その結果,cAMP,cGMPともにCRP結合時にNーグリコシド結合回りのコンフォメ-ションがsynとなっていることが明らかになった。 cAMPーCRPーDNA複合体のラマンスペクトル測定や,複合体形成時の時間分解測定等については十分な実験を行えなかった。しかし,蛋白質ー核酸複合体のような複雑な系でも,紫外共鳴ラマン分光法は有用な構造情報を与え,本法により蛋白質ーDNAの相互作用の実態をつきとめ得ることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hideo Takeuchi: "Ultraviolet Resonance Raman Spectroscopy of XーProline Bonds:a New Marker Band of Hydrogen Bonding at the Imide C=O Site" Journal of Raman Spectroscopy. 21. 509-515 (1990)
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[Publications] Akira Toyama: "Ultraviolet Resonance Raman Spectra of Adenine,Uracil and Thymine Derivatives in Several Solvents.Correlation between Band Frequencies and HydrogenーBonding States of the Nucleic Acid Bases" Journal of Molecular Structure. 242. 87-98 (1991)
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[Publications] Hideo Takeuchi: "Raman Bands of NーDeuterated Histidinium as Markers of Conformation and Hydrogen Bonding" Journal of Raman Spectroscopy. 22. (1991)
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[Publications] Akira Toyama: "Ultraviolet Resonance Raman Spectra of Cyclic AMP Receptor Protein:Structural Change Induced by Cyclic AMP Binding and the Conformation of ProteinーBound Cyclic AMP" Journal of the American Chemical Society. 113. (1991)
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[Publications] Takashi Miura: "Raman SPectroscopic Characterization of Tryptophan Side Chains in Lysozyme Bound to Inhibitors:Role of the Hydrophobic Box in the Enzymatic Functions" Biochemistry.