1988 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー二重共鳴・分子線・磁場を併用した高分解能分光と光解離過程の研究
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62430005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 肇 神戸大学, 理学部, 教授 (60030780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 正昭 神戸大学, 理学部, 助手 (80189729)
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Keywords | 量子ビート / コヒーレンス / レーザー分光 / 磁場 / レーザー / アルカリ金属 / ドプラーフリー |
Research Abstract |
磁場中にあるNa原子の3P^2P_<1/2>あるいは3P^2P_<3/2>の各ゼーマン準位に波長可変レーザーで選択的に光励起し、衝突によりエネルギー移動した3P^2P準位からの発光ゼーマンスペクトルを測定した。その各ゼーマン線の強度より3P^2P_<1/2>および3P^2P_<3/2>ゼーマン準位間の衝突によるエネルギー移動における選択則を直接観測により明確にした。磁場12のガウス下で磁場に直角な方向に電気ベクトルを持つレーザー光で、時間幅10ピコ秒の光励起遷移Na(3P^2P_<3/2>←3S^2S_<1/2>)を生じさせ、衝突によりエネルギー移動によって生じるNa(3P^2P_<3/2>→3S^2S_<1/2>)遷移の発光強度の経時変化を測定した。エネルギー移動したNa(3P^2P_<1/2>)準位からの発光において、発光強度の経時変代に振動することをみいだした。これは衝突によりエネルギー移動した準位からの発光における量子ビートの最初の発見である。さらに、この量子ビートの振動数は、共鳴蛍光Na(3P^2P_<3/2>→3S^2S_<1/2>)の量子ビートのものと一致しており且つその位相は逆であることが判明した。これらの結果は衝突によるエネルギー移動過程でコヒーレンスが保存されることより説明出来た。またNa(3P^2P_<3/2>→3S^2S_<1/2>)遷移の量子ビートとその外部磁場による変化を純Na蒸気及びNaとHeの混合蒸気について測定すると共に、理論計算により量子ビート曲線を求めた。その結果、測定結果の量子ビートと位相は良い一致を示したが、振幅は時間の経過と共に、そのズレが増大していくことが判明した。コヒーレンスの減少が無いとして理論的に求めた量子ビートと観測した量子ビートを比較検討することより、コヒーレンスの減衰時間を決定した。 この他、ドプラーフリー高分解能レーザー分光法を活用し、各種アルカリ金属分子の状態間摂動及び前期解離に関する研究を行なった。
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[Publications] 加藤肇: Journal of Chemical Physics. 89. 653-659 (1988)
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[Publications] 横山和重: Journal of Chemical Physics. 89. 1209-1214 (1988)
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[Publications] 馬場正昭: Journal of Chemical Physics. 89. 7049-7055 (1988)
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[Publications] 馬場正昭: J.Chem.Soc.Faraday Trans 2,. 85. (1989)
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[Publications] 馬場正昭: Journal of Chemical Physics. 90. (1989)