1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62430023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鬼頭 誠 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (60027183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 宏史 京都大学, 農糧科学研究所, 助手 (30155999)
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Keywords | 細胞の刺激応答 / 血小板 / チャインーズハムスターV79ーUF / エンドサイトシス / エンドソーム / リン脂質分子種 / アラキドン酸 |
Research Abstract |
(目的)ホルモンなどの生理活性物質は細胞膜レセプターを介して細胞内部に情報を伝達している. この時,膜脂質の代謝変化が重要な役割を果たしている. 本研究では,細胞が刺激に応答する初期段階での膜リン脂質分子種の役割を質量レベルで定量的に解析することを目的としている. (成果)ヒト血小板膜では,ホスファチジルコリンを除くすべてのリン脂質の50%以上を占める分子種がアラキドン酸を含有している. トロンビンやコラーゲンによる刺激後のこれらの分子種の変化を定量的に調べた. トロンビン刺激では,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンのアラキドン酸含有分子種のみが選択的に水解した. 一方,コラーゲン刺激では,細胞内のカルシウム濃度が基底状態でホスファチジルイノシトール分子種のみが水解した. これはホスホリパーゼCによるものであり,生成したジアシルグリセロールからアラキドン酸さらにはトロンボキサンB_2が生成した. このことはコラーゲンによる血小板凝集反応の初期段階では,リン脂質からのアラキドン酸の遊離が重要な役割を果たしていることを示唆しており,現在その機構の解明を行なっている. 一方,チャイニーズハムスターV79ーUF細胞は血小板由来生長促進因子刺激に応答してエンドサイトシスを行なう. この時形成されるエンドソームは形質膜由来であるにも拘わらず,リン促質分子種のレベルが大きな差異があることを発見した. とくに,オクタデカモノエン酸を2モル含有する分子種量に違いがみられた. 現在,このようなリン脂質分子種のエンドソーム形成に対する意義を調べている.
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