1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62440062
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石井 清一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20001000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小祝 聡一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90045336)
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Keywords | ヒト骨肉腫 / スフェロ1ド / 放射線感受性 / 骨γカルボキシ.グルタミン酸含有蛋白 / モノクロ-ナル抗体 |
Research Abstract |
1)ヒト骨肉腫の手術材料をヌ-ドマウスに移植し、6株の長期継代移植株を得た。ヌ-ドマウス移植腫瘍を組織培養系に移し、4株の細胞株(OST1、OST1M、OST2、OST3)を得た。OST1、OST1Mでスフエロイドを作り、10Gyの単独照射を行った。その増殖は完全に抑制されるところから、放射線感受性を示す骨肉腫の存在を確認した。2)ヒト骨皮質から抽出精製することに成功した骨γカルボキシ、グルタミン酸含有蛋白(BGP)を用いて以下の研究を進めた。このBGPをBALB/Cマウスに免疫して、5種のモノクロ-ナル抗体(1C3、5E10、7E4、10A4、10E8)を得た。いずれの抗体も骨肉腫27例中全例と反応した。しかしその他の骨、軟部悪性腫瘍との反応は認めなかった。これらの抗体は骨肉腫細胞の細胞質と強く反応したが、腫瘍性類骨との反応は認められなかった。5種の抗BGP抗体が認識する抗原をWestern blotとアミノ酸分析で検討したが、ヒトBGP(Posterら)と一致していた。われわれの抗BGP抗体は骨肉腫の組織学的診断に極めて有用なことを示していた。3)ヒト骨肉腫由来培養株(KIKU)から2種の抗骨肉腫モノクロ-ナル抗体(2D3.2H10)を得た。免疫組織学的検索では12例の骨肉腫全例と強く反応した。この抗体の認識抗原をSDSーPAGEで解析したが、分子量75kdの同一抗原上の異なる抗原決定基を認識していた。認識抗原としてアルカリフォスファタ-ゼ活性が認められたが、肝、腎、小腸、胎盤との反応性はなかった。ELISA法を用いて骨肉腫患者血清中の骨肉腫関連抗原を測定した。骨肉腫5例全例に、2D3、2H10を認識する抗原が同定された。この抗体による骨肉腫の血清学的診断の有用性を示唆していた。
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[Publications] 高田潤一ほか: "ヒト骨γカルボキシ.グルタミン酸含有蛋白に対するモノクロ-ナル抗体の作製" 医学のあゆみ. 148. 131-132 (1989)
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[Publications] 浅野奬ほか: "高頻度肺転移ヒト骨肉腫ヌ-ドマウス移植株における細胞性癌遺伝子の解析" 北海道整災外. 33. 1-5 (1989)
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[Publications] 高田潤一ほか: "ヒトBGP(Bone Gla Protein)に対するモノクロ-ナル抗体の作製" 日整会誌. 63. 954 (1989)
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[Publications] 名越智ほか: "PI(フォスファチジル・イノシト-ル)ーanchoring膜蛋白として存在する骨肉腫々瘍抗原の解析" 日整会誌. 63. 955 (1989)
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[Publications] Takayuki Ohta et al.: "Immunocytochemical lcalization of BGP in human bones in various developmental stages and pathological conditions" Virchows Arch A pathol Anat. 415. 459-466 (1989)