Research Abstract |
61年度は, 東京都中央区と神奈川県南足柄市で1次調査(75歳以上の後期高齢者を対象とした郵送法による健康調査)を行った. 中央区は3294名, 南足柄市は1144名から回答が得られた. その結果, 「ほとんど寝ている」と「寝たきり」は, 中央区では3294名中359名(10.9%)と多かったのに対し, 南足柄市ではそれが1144名中91名(8.0%)と有意に少いことが示された. これには, 地区のリハビリ活動への取み組み, 家族構成の違いからくる介護力の差等を含めた老人ケアシステムの差が反映しているものと考えられた. 次いで, 中央区に関しては, 2次調査を行った. 2次調査は, 健康上の問題の大きい老人を抽出し, 206名に対して家庭訪問で行った. その結果, 以下の知見が得られた. 1)介護担当者は, 嫁,娘,配偶者,息子の順であるが, 50歳以上が その約70%を占めていた. 2)介護者の生活パターンをみると,寝たきりの介護内容は それを維持できるが, 痴呆の老人の生活パターンは一定せず, 困難が多く, 介護者の心身の疲労が大きい. 3)老人の住居として, ビル住いの商業中心地区は, 隣家同志の交流が少ない. 4)社会資源の活用は, 地区別に差がみられた. また, 老人と家族の人間関係が悪い場合は, 社会資源の活用が殆ど行われていないことがわかった. 5)今後の課題として, 石室ケアのためには昼夜心身共に疲労している家族のサポートの方法,システムの開発が, 今後は重要視されなければならない. また, デイケア,ショート・ステイ,ヘルパーの派遣,訪問看護の充実,公営の中間施設や 特別養護老人ホームなどの早急な対策も必要であることが指摘された. なお, 206名の中から更に要訪問ケースを選定し, 現在家庭訪をし, 効果的な援助方法について検討を続けている最中である. なお, 南足柄市については, 63年度に同様の調査と援助を行う予定.
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