1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62450032
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Research Institution | BUKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 伸一 佛教大学, 社会部, 講師 (80154821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
〓蔗 寂泉 高野山大学,文学部, 非常勤講師 (80186163)
若林 良和 佛教大学,社会学研究所, 助手 (10201146)
星 明 佛教大学,社会学部, 講師 (30148382)
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Keywords | 生活の不安定化 / 離職 / 炭鉱 / 労働移動 / 社会移動 / 縁辺労働力 |
Research Abstract |
本年度は、離職者の中で産炭地に滞留するグループの面接調査を夏季に実施した。 研究対象のK炭礦では、旧炭住が500戸ほど残在している。町当局では、「改良住宅」の建設により順次移転を促進しているが、財政問題との絡みで予定よりも遅れている。こうした地域の現状から、調査では滞留層を三つのグループに分け、各グループの実態を明らかにした。 第一グループは、旧炭住に居住する離職者である。このグループは、炭鉱閉山後、第二会社に再就職したり、日雇い労働、組夫といった就業で生活を営み、全体に高齢者世帯が注目される。 第二グループは、「改良住宅」に居住する離職者である。このグループは炭住居住層と大きな違いはないが、地域環境が一定整備されていることから、近隣関係は濃密であり生活の安定度は第一グループよりも高い。 第三グループは炭住の払い下げにより自己住宅(新築・改築)に居住するグループである。家族形態は三世代が主である。離職後も比較的に安定した職業に従事してきた経歴が特徴である。滞留層のなかでは、最も安定した生活を営んでいる。 こうした炭鉱に滞留する離職者と、都市の工業地域に移動した離職を比較してみると。基本的な属性では年齢(離職時)において明確な差がみられた。移動属は滞留属よりも5ー6才若く、家族構成も二世代が大部分である。移動条件に恵まれた労働者だからこそ、移動できたといえる。「去るも地獄、残るも地獄」といわれた炭鉱閉山ではあったが、当時の経済成長という外的条件と、移動者の努力により、多くの離職者は生活の安定を達成したことが実証できた。しかし、その反面では我々の調査からもれた一部の没落者の存在も看過することはできない。
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