Research Abstract |
本研究は,2年度にまたがる研究であるため 今年度は 本研究の基礎資料の調査・収集及びそれらの整理を主な活動とした. 資料の調査においては,各地区の研究所(大学等)をはじめ,地方歴史博物館等の所蔵関係資料調査を行った. 主な所は,宮崎大学・鹿児島大学・京都大学・東京芸術大学等の附属図書館,東京大学新聞研究所,九州歴史資料館,長崎県立美術博物館,愛媛県立博物台,神戸市立博物館,兵庫県立歴史博物館,下田開港記念館,ハリス記念館,神奈県立博物館,リッカー美術館太田記念美術館,国立西洋美術館,函館市博物館等で,総数23機関に及んだ. また,図書等の資料については,音楽関係図書,文化史に関する図書等を主に収集した. それらは,音楽関係は,「音楽雑誌(復刻全7巻)をはじめ,海軍軍楽隊,陸軍軍楽隊史,日本の洋楽,洋楽の栞等約70点余り. 文化史関係は,明治ニュース事典(全9巻)をはじめ,幕末明治文明開化,綿絵幕末明治の歴史,幕末明治の浮世絵集成,出島図,長崎港草,駒場野之図,集大成横浜浮世絵,長崎古今集覧,長崎実録大成,日本教育百年史等約150点余りを収集することができた. これらの調査及び資料の収集により,日本人が洋楽と出合いかつ受け入れるに当っては,異文化に対する興味と関心を持ちつつ,一方では排他的感情をも持つという, 多面的な接し方をしていたことが明らかになった. 特にこの感情は, 知識階級というよりはむしろ一般庶民に多くみられる傾向であった. また, 洋楽を積極的に取り入れようとする人にも, 楽器等においては,その構造も充分に,具体的に明らかにされていなかったためか,興味だけによる理論の展開がなされるなど,正確な音楽の普及とは言いにくい点があげられる. 63年度は, 残れた資料の調査と, 全体的検討により,本研究のねらいを明らかにしたい.
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