1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62450045
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
泉 澄一 関西大学, 文学部, 教授 (90131416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上井 久義 関西大学, 文学部, 教授 (90103382)
薗田 香融 関西大学, 文学部, 教授 (40067492)
有坂 隆道 関西大学, 文学部, 教授 (90067380)
津田 秀夫 関西大学, 文学部, 教授 (40015334)
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Keywords | 対馬藩 / 宗家文書 / 近世日朝外交 / 以酊庵 / 豆配多久頭魂神社 |
Research Abstract |
昭和62年度は5名全員がそれぞれ4〜1回対馬を訪れ,北端の鰐浦から南端の豆配まで実地見学を行ない自然地理的環境の把握にもつとめた. 本研究の中離は長崎県立対馬歴史民俗資料館(厳原町今屋敷)に保管される「宗家文書」の調査・研究にあるが,日記類では藩政文書の根幹となる「表書札方毎日記」,記録類では表書札方の「寺社記録(G)」・「寺社方記録」等を各テーマにしたがって調査し,マイクロ撮影を行なった. 以下,各テーマごとに本年度研究実績の概略をのべておく. (一)「江戸藩邸における幕府及び諸藩との交渉」. 本テーマでは当初,東京大学史料編纂所所蔵の「宗家文書」の調査を予定していたが,目下整理中で閲覧がむずかしい状況にある. ところで宗義成(第二十代藩主)の正室・阿福は寛永年間に武家伝奏をつとめた大納言日野資勝(涼源院)の女である. 資勝の日記(「資勝卿記」)は当時の公武間の状況を知りうる好史料だが,宗家に関する記事もみられ,今後日野家にかかわる史料により当該の研究を進めたいと考えている. (二)「日朝外交における以酊庵と禅僧」. ぼう大な量の「宗家文書」だが以酊庵関研の記録はきわめて少ない. 藩がまとめた「以酊庵勤記」は「表書札方毎日記」からほぼ規式化した以酊庵との往来の記事を抜書きし編纂したものにすぎない. したがって以酊庵輪番の開始(寛永12年)以来の外交事蹟については「表書札方毎日記」等の諸記録について再度検討の必要があり, 目下その作業を進めている. (三)「村落共同体における祭祀遺制」, 本研究では主として厳原町豆配地区の多久頭魂神社をめぐる祭祀遺制の調偵を行なったが,頭役家のほか古老から祭祀伝承のほか,豆配における風俗習慣,また半家半漁の生業のあり方等の聞きとりができ,広い視野から豆配の歴史地理的あり方を知ることができた. なお「宗家文書」で対馬における神社祭祀のあり方をみているが,従来の伝承と異なる事例を見出している.
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