Research Abstract |
1.西表島,石垣島,宮古島,南北大東島において,新期サンゴ石灰岩のとところに形成されたカルスト地形とくに石灰岩堤などと沈水カルスト地形とくに沈水凹地形の分布状態が明らかになりつつあり,またこれらの島には同時に円錐カルストが高度100m前後に,散在的に分布していることも, わかってきた. 今後の精査によって,その分布範囲を確定し,気候地形学的考察を加えることに,地殻変動の地域差を明らかにしなければならない. 2.石垣島,南北大東島,与論島において,隆起した新期サンゴ石灰岩の露頭に形成されるカレンフェルトの地形について精査した結果,秋吉台や帝〓台などの温帯カルストの古期石灰岩の場合と類似した溶食微地形をあらしていると同時に,さらに亜熱帯的環境下に形成されたものとみなされる新しい溶食微地形(ラピエ)の数種を加えることができた. 3.石垣島,宮古島,伊良部島,徳之島において, 新期サンゴ石灰岩によって形成された数段の海成段丘を切って, きわめて顕著なカルストバレーと石灰洞,凹地形の発達していることが認められ,これらの分布範囲をさらに確定するための調査が必要であり,気候変化や地殻変動と溶食地形の形成過程を考察するための重要な地形の存在することが明らかになった. 4 石垣島,波照間島,与論島,沖永良部島において採集した鍾乳石の年輪ごとの形成年代をESR年代法によって測定した結果,過去3万年の間におけるその生長過程の変化が,ほとんどそのまま気温や降水量などの気候環境の変化と対応している可能が強いことがわかり,さらに採集資料を増加して再検討し実証性を深め,過去の環境変化を年代的に明らかにしうるならば,さらに石灰岩の侵食量との関係,気候の地域差や地殻変動を十分考慮したカルスト地形の発達過程を地域ごとに比較地形学的にくみ立てる研究へと展開するものと考えられる.
|