1988 Fiscal Year Annual Research Report
小員環イオンラジカル種の化学反応挙動と新規反応開発への利用に関する研究
Project/Area Number |
62470018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻 孝 北海道大学, 理学部, 助教授 (20029482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 進也 北海道大学, 理学部, 教授 (40029400)
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Keywords | カチオンラジカル / ビシクロ〔2.2.0〕ヘキサン / 環化付加 / 環開裂 / シクロファン / トロポン |
Research Abstract |
1.ビシクロ〔2.2.0〕ヘキサン誘導体の光増感一電子酸化。前年度にひき続いてビシクロ〔2.2.0〕ヘキサン誘導体(1)の一電子酸化によるカチオンラジカル生成と、その反応挙動について検討を加えた。その結果、1から生成するカチオンラジカル種は立体効果によって特に不安定化されていない限り舟型配座を保持しており、その寿命内に椅子型やねじれ舟型配座に転位しないことが明らかとなった。対応するジラジカル種では、舟型配座はポテンシャルエネルギー面上の極小になく、活性化エネルギーを要することなく後者の配座に転位するとされているのとは極めて対照的である。 2.1,4-位を架橋した、ビシクロ〔2.2.0〕ヘキサン誘導体の一電子酸化・開裂によって生成する。1,5-ヘキサジエン カチオンラジカルは、オレフィンのカチオンラジカルとして新規な二次的分子内水素移動・閉環を行って五員環化合物を与えることが見出された。本反応の一般性の検討を合成反応への展開の可能性は、今後の検討課題である。 3.側鎖に二重結合のあるシクロファン構造をもつハイドロキノンを一電子酸化すると、室温で速やかなDiels-Alder型の渡環環化付加を行うことを見出した。反応活性種としてヒドロキノンのカチオンラジカルが介在しているか否かを含めて反応機構は今後の検討課題であり、より一般的な分子間反応への展開の可能性を検討する計画である。 4.デュワーベンゼン誘導体のカチオンラジカル生成条件下での化学反応挙動について検討を加えた。その過程で、新規な共役不飽和環状系であるビシクロ〔4.2.2〕デカペンタエンの生成を初めて確認した。また、これまで未知であった3,4-ベンゾトロポンの発生に初めて成功した。これらの化合物は、特に構造化学上注目すべき環構造をもつ。
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[Publications] Masaru,Miyake: Chemistry Letters. 1988. (47-50)
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[Publications] Masaru,Miyake: Chemistry Letters. 1988. (1395-1398)
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[Publications] Takashi,Tsuji: Journal of the American Chemical Society. 110. 2157-2164 (1988)
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[Publications] Takashi,Tsuji: Journal of the American Chemical Society. 111. 368-369 (1989)
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[Publications] Masakazu,Ohkita: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.
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[Publications] Masakazu,Ohkita: Journal of the American Chemical Society.
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[Publications] Takashi,Tsuji: Journal of the American Chemical Society.
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[Publications] Takashi,Tsuji: J.Chem.Soc.,Commun.
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[Publications] Takashi,Tsuji: Journal of the American Chemical Society.