1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62470126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 悦郎 京都大学, 農学部, 教授 (50026522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 照雄 京都大学, 農学部, 助手 (10177701)
伏木 亨 京都大学, 農学部, 助教授 (20135544)
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Keywords | 食品成分 / 細胞分化 / 動物細胞培養 / 小腸上皮細胞 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
動物細胞の多くは常にターンオーバーしており、その際未分化の幹細胞の分化、増殖と正しの移動による再構成によって正常な組織の構造と機能が維持されている。特に小腸の上皮細胞や肥満の成立と密接に関係する脂肪細胞の形成は摂取する食品成分によって著しい影響を受けていると考えられる。そこでこれらの前駆細胞のモデルとなる培養細胞を用いて、分化・増殖に必須な因子とその作用機構を明らかにすることを目的とした。本年度の研究成果は以下の通りである。 小腸上皮細胞のターンオーバーは極めて速く、クリプトで分裂した幹細胞は数日の間に複数種類の細胞に分化し、絨毛の先端に達して剥落する。このような急速な小腸機能の発現に対して小腸組織から細胞の分化を誘導・制御する因子が出ているのではないか、そして食品由来の物質がこの分化に2次的に関与しているのではないかと考えた。本年度は内因性調節物質を明らかにするためにラット小腸酸抽出物から因子を検索した。分化誘導因子のアッセイには小腸幹細胞の性質を保持しているラット小腸由来培養細胞IECー18を用い、成熟細胞に特有の膜酵素の発現を指標として検討した結果、抽出液添加により指標酵素の上昇が認められた。そこで大量のラット小腸抽出物よりHPLC等により活性物質を精製した。 培養下で脂肪細胞へ分化しうる織維芽細胞3T3ーL1を用いて分化に対する各種ビタミン類の影響を検討した結果、殆んどの脂溶性ビタミン類は抑制的に、ビタミンB^6,Cは促進的に作用することを知った。しかし真の分化決定因子は血清中の未知物質であり、分化に対する食品成分の作用機構を解明するためには、まず分化決定因子を明らかにし、増殖と分化とを区別して解析する必要がある。そこで無血清培地中での(前)脂肪細胞の培養系の確立を計り、その結果competent factorが少くとも前脂肪細胞の増殖に必須であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Miki: Journal of Biochemistry. 102. 385-392 (1987)
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[Publications] Y.Aratani: FEBS Letters. 218. 47-51 (1987)
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[Publications] S.Fukuoka: Biochemical and Biophysical Research Communications. 145. 646-650 (1987)
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[Publications] 内藤博: "新栄養化学" 朝倉邦造(朝倉書店), 307 (1987)
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[Publications] 吉田昭: "非栄養素と生体機能" 中川廣一(光生館), 294 (1987)