Research Abstract |
本研究は,イネの染色体地図の作成をめざして,分染法による動原体,分染バンド,染色粒を明確に区別する方法を確立すると共に, 染色体欠失や相互転座などを用いて,各染色体について連鎖地図上の主要標識遺伝子と動原体,長腕,短腕部位との関係を明らかにしようとするものである. 分染法については,主としてギムザ染色とクロモマイシンによる蛍光染色を試みた. 体細胞前中期の核板で,ギムザ染色では7本の染色体を,クロモマイシン染色ではSAT染色体を同定できた. 残りの5本の染色体についてはギムザおよび各種分染法による同定の可能性を検討中である. 一方,花粉母細胞のパキテン期の分析については,生の材料でなく,固定貯蔵材料を使用して動原体,染色粒等を明確に識別できる分析法の開発を検討中である. 染色体欠失については,標識遺伝子部位が介在する染色体欠失個体を作出するため,標識遺伝子系統を種子親として,それに受粉前日にγ線(5KR)を照射した正常個体の花粉を受粉し,約10,000粒の交配種子を得た. 一方,前年度までに行った同様な交配によるF_1から,23本の染色体と1断片染色体をもつ4個体と,モノソミックス6個体を選抜した. 腕単位で遺伝子の座乗染色体部位を識別できるモノテロトリソミックスの作出については,8型のトリソミックスを開花前日にγ線照射(5KR)して約5,000粒の自殖種子を得た. また,前年度までに得た同様な自殖によるM_1系統から,24本の染色体と1断片染色体をもつ3個体を選抜し,同時に約50の転座ヘテロ個体を検出した. 相互転座については,既存の相互転座の転座点同定のために,相互転座系統と標識遺伝子系統間,あるいは相互転座系統間で交配を行い,約500組合せについて交配種子を得た. 一方,仁染色体が関与する相互転座ヘテロ個体を用いて,体細胞核型分析あるいはパキテン分析を試みた.
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