1987 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷多雪地における冬期の地表附近の水動態と森林の機能
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62480058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤原 滉一郎 北海道大学, 農学部演習林, 教授 (00001503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部演習林, 助手 (20187230)
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部演習林, 助手 (70125318)
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Keywords | 積雪 / 森林の推雪機能 / 積合下面の融雪 / 積雪期の流出量 / 森林の水源涵養機能 / 土壌凍結 |
Research Abstract |
1.宗谷丘陵及び中川町で, 森林の構成と森林及びこれに接する草地等で積雪の調査を行った. 降雪期にも10m/sec以上の強風の多い宗谷丘陵では, 地形的な突出部や, 草地化した緩斜面でも風が吹き抜ける部分では積雪が0〜20cm位で土壌凍結が生じている. 樹高5〜10m, 胸高直径10〜20cmの樹冠の鬱閉している林地では積雪深0.5〜1.5mと推雪していて, 土壌凍結はみられなかった. なお, 風衝地で土壌水分動態を把握するため地中温度を測定しているが, これは融雪後に結果が得られる. 内陸に位置し, 平年の積雪深が1.5mに達する中川町でも, 草地を造成し大面積に無立地化した稜線部では積雪深は0.2〜0.4mで土壌凍結がみられた. 草地内に0.5haほど残された被蔭林内では, 周囲の森林内よりは若干少ない1.0〜1.5mの積雪深で土壌凍結はなかった. 以上のように, 強風域では森林の推雪効果が認められ, ここでは土壌凍結がなく積雪下面の融雪があった. 2.北海道大学構内で, 積雪下面の融雪量を簡易ライシメータで測定している. 今冬は平年より気温が高く, 積雪下面融雪量を測定しうる期間(真冬日)は少ないが, 2月の真冬日の続いた期間に0.2〜0.8mm/dayの融雪量があった. この期間の積雪深は約0.6mである. 3.札幌市郊外の低山帯のカラマツとオニグルミ・エゾイタヤ等の混交林で覆われる約20haの流域で, 冬期間の流量を測定している. 2月中旬の低温時期には量水堰が凍結して一部欠測となったが, 2月の流量は0.15〜0.20mm/dayであった. これは夏期(7・8月)の無降雨期間の流量0.2mm/dayにほぼ等しい値である. 4.昭和63年度も1〜3の観測を行ない, 年による変動巾や特殊条件を把え, より総合的研究に進展させる.
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[Publications] 笹賀一郎: 北海道大学演習林研究報告. 46-3. (1989)
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[Publications] 藤原滉一郎: 日本林学会北海道支部論文集. 37. (1989)
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[Publications] 佐藤冬樹: 日本林学会北海道支部論文集. 37. (1989)
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[Publications] 藤原滉一郎: 日本林学会大会論文集. 100. (1990)