1989 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷多雪地における冬季の地表付近の水動態と森林の機能
Project/Area Number |
62480058
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤原 滉一郎 北海道大学, 農学部演習林, 教授 (00001503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 収 北海道大学, 農学部, 助手 (20178966)
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部演習林, 助手 (20187230)
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部演習林, 助教授 (70125318)
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Keywords | 積雪分布 / 森林の堆雪機能 / 土壌凍結分布 / 土壌水 / 積雪下面融雪 / 冬期流出 / 森林の水源涵養機能 / 森林施業 |
Research Abstract |
最終年度であり、とりまとめとそれに必要な補足的調査等を行った。 1.融雪期に、宗谷丘陵・間寒別・中川地区で土壌凍結の調査をした。 1988〜'89年冬季は、暖冬・少雪・少積雪移動の年であり、3月には常緑針葉樹林の積雪深は小さく、10cm前後の土壌凍結がみられた。融雪期は、常緑針葉樹林内は周辺の落葉樹林や無立木地よりも消雪が早かったが、土壌凍結も融雪期には消失していた。稜線部の無立木地ではまだ、この時期には凍土層があり融けた表土層が不安定な状況にくらべると、森林の存在は融雪期の出水やエロ-ジョンに大きなマイナスにはなっていなかった。 2.夏期に、まとめのための地形・植生等の補足調査を行った。 3.宗谷丘陵・簾舞で冬季流出調査を行った。 まだ、デ-タの取込中であるが、宗谷丘陵でも冬期流出(減水期)に、小変動がみられた。 4.1990年3月に宗谷丘陵・間寒別・中川地区で積雪と土壌凍結の観測を行った。 この冬期も暖冬で少雪であったが、積雪深の分布・土壌凍結はこれまでと同じ傾向であった。 5.土壌凍地域の判別指標として、宗谷丘陵ではササ分布域の中に小面積に点在するススキの群落が、植生指標の一つとなる可能性をみいだした。積雪上の調査であり、夏期のススキ群落の構成等の詳しい調査や、ササの生育・生長と土壌凍結の生態的調査を必要とするが、植生は土壌凍結地域の判別の有力な指標となりうると考えられ、この面的な拡がりを把握すれば、森林造成計画や森林の施業計画に展開できる
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 笹賀一郎,藤原滉一郎,佐藤冬樹: "森林の強風地における堆雪効果" 北海道大学農学部演習林研究報告. 46. 801-828 (1989)
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[Publications] 笹賀一郎,藤原滉一郎,佐藤冬樹,清水収: "森林の強風地における堆雪効果II-少積雪少移動シ-ズンにおける堆雪状況-" 北海道大学農学部演習林研究報告. 47. 145-175 (1990)
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[Publications] 佐藤冬樹,笹賀一郎,藤原滉一郎: "北海道北部天然林内を流れる小河川の水質" 日本林学会大会論文集. 101.
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[Publications] 藤原滉一郎: "札幌の積雪下面融雪量" 日本林学会北海道支部論文集. 37. 183-185 (1989)
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[Publications] 佐藤冬樹,笹賀一郎,藤原滉一郎,清水収: "少積雪・強風地帯における土壌凍結と堆雪柵の効果について" 日本林学会北海道支部論文集. 38. 215-217 (1990)
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[Publications] 藤原滉一郎,笹賀一郎: "積雪寒冷地における山地小流域の冬期の流出" 日本林学会北海道支部論文集. 38. 239-241 (1990)