1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480095
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上原 康生 愛媛大学, 医学部, 教授 (20028343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 輝昌 愛媛大学, 医学部, 助教授 (20037386)
藤原 隆 愛媛大学, 医学部, 助教授 (30036496)
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Keywords | 微小血管 / 形態発生分化 / 腫瘍血管 / 血管平滑筋 / 周細胞 / 走査型電子顕微鏡 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1)血管鋳型標本について、妊娠期ラット乳腺血管網の新生増殖を走査型電子顕微鏡で観察し、結果を論文に発表した。(業績参照)血管網の形成機序を明らかにするため、毛細血管出芽と、隣接する出芽先端間の吻合について、細胞間の構造的関係を解析し、また内皮細胞基底板の関与について組織化学的検索及び微細構造レベルでの詳細な解析を行っている。 2)血管平滑筋細胞と周細胞の由来、発生分化について、走査型電子顕微鏡による研究を行った。ラット胎生後期、細動脈の平滑筋は、短紡錘状を呈し、血管の長軸に斜走あるいは輪走すること、以後平滑筋細胞は、細胞長軸方向へ成長し長い紐状の筋細胞へと成長することを示した。この変化は、内皮筒の拡張にともなって、筋細胞が受動的に伸長されることに基づくと考えられる。幼弱な毛細血管周細胞は、血管に沿って密な分布を示し、小数の不規則な突起を有する。以後隣接する周細胞間距離、血管長軸に向かう一次突起の長さが漸次増加する。この現象は、毛細血管が、血管横軸より、むしろ長軸方向へ成長することと密接な関係を有することを示唆している。 3)DMBA誘発乳腺腫瘍血管について、本年度は主として透過型電子顕微鏡による微細構造解析を進めている。急速に成長する腫瘍血管では、血管内皮細胞、周細胞、平滑筋細胞すべてにおいて、頻繁な細胞分裂像を呈し、正常新生血管で観察することが困難なこれら細胞の増殖分化の過程を明らかにすることが出来た。 4)兎耳の動静脈吻合部について、その特異的な節分化と各節に於ける壁構造を初めて明らかにした。(業績参照) 5)血管節分化については、脳血管、腸管膜血管について研究を続行している。
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[Publications] N.Sano;S.Matsuda;H.Matsuda;Y.Uehara: Braic Research. 455. 324-331 (1988)
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[Publications] T.Yasugi;T.Kaidoh;Y.Uehara: Archives of Histology and Cytology. (1989)
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[Publications] T.Fujiwara;C.Nagakuro: Neuroscience Letters. (1989)
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[Publications] 上原康生,海藤俊行,出崎順三: 臨床科学. 24. 1031-1039 (1988)
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[Publications] T.Komuro: Neuroscience Letters. 92. 27-29 (1988)
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[Publications] M.Murakami;T.Nagato;H.Tanioka;Y.Uehara: Archives of Oral Biology. 34. 143-145 (1989)
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[Publications] 上原康生,小室輝昌,藤原隆: "人体組織学 概説・運動器 小川和朗 他編 平滑筋" 朝倉書店, 407-432 (1988)
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[Publications] 上原康生: "血管の構造(血栓形成と血栓溶解)" 日本科学技術協会,