Research Abstract |
大動脈内皮細胞の管腔側表面細胞膜の凍結割断レプリカ像では,膜内粒子の,P面及びE面における分布は均一ではなく,分布密度に差が認められた. これらの膜内粒子が,表面膜に局在すると考えられる受容体を意味するものか,膜局在性の酵素を意味するものか,次年度の研究において解明したい. ラットの大動脈内皮を急速凍結後,割断レプリカ,または,エッチングレプリカを作製して電顕的に観察した結果,サポニン処理を行った試料では,内皮細胞内小胞の細胞質側膜表面が明確に観察され,そこには4〜6条の縞状構造が認められ,主として,経線方向に平行に走るが,交差するものも認められた. また,サポニン末処理の試料でも,エッチングにより細胞質蛋白がその表面を覆い,やや不明瞭だが,同様の縞状構造を認める事ができた. この小胞細胞膜表面構造は,クラスリン破覆小胞とは形態的に明らかに異なっていた. これらの縞状構造は,この他に,平担な細胞膜の細胞質表面にパッチ状に認められたり,細胞質内の膜性小器官の表面や,それに付着する小胞の細胞質表面にも認められた. 同様の縞状構造は,毛細血管内皮や線維芽細胞の小胞にも認められた. サポニン末処理の試料や無固定のものにも,膜の細胞質 側に縞状構造が認められることは,その構造が人工産物ではないことを物語っている. これまでの観察から,この縞状構造をもつ小胞は,クラスリン破覆を持たない,いわゆる,滑面小胞と考えられる. この縞状構造は,ミオシンフラグメント処理で矢尻状パターンを示すことから,アクチンの可能活が強く示唆された. 恐らく,これらの縞状構造は,物質取込み,輸送に関与する構造ではないかと考えられた.
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