1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480101
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
星 猛 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60004537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 暉通 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (20013302)
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Keywords | カチオン駆動担体 / 輸送上皮 / 比較生理学 / タイト接合部 / インピ-ダンス / 透過吸収(persorption) |
Research Abstract |
小腸上皮刷子縁膜のNa^+依存性の糖、中性アミノ酸担体と、H^+依存性ペプチド担体の各々の特性については既に充分明らかにして来たが、カチオン駆動機構を異にする2つの種類の共存の生理学的意義は尚不明である。本年度は、(1)比較生理学的立場から、両種の担体輸送系がどの様な進化過程を経てきているか、(2)小腸上皮の吸収特性、殊に透過吸収に両係の輸送がどの様な影響をあたえるか、について検討を行った。 (1)の問題については、タコ(軟体動物)、ナマコ(棘皮動物)、サバ、メバル、フグ等の海生硬骨魚、キス、ボラ(汽水硬骨魚)、コイ(淡水硬骨魚)について摘出反転腸管で輸送電位を記録し、従来得ている両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の成績と比較検討した。その結果、Na^+依存性担体とH^+依存性担体は、海生硬骨魚及びそれ以下の動物には存在せず、淡水魚以上の脊椎動物に同時に進化していることが明らかになった。このことは、両系が共存することが、機能的統合に重要であることを強く示唆しており、今後の機能統合研究に強力な基盤となるものである。 (2)Na^+駆動系とH^+駆動系の共存の生理学的意義解明の一環として、小腸上皮細胞タイト接合部に対する影響を比較した。タイト接合部に対してはNa^+依存性糖、中性アミノ酸輸送は、細胞内骨格、特にterminal web部のアクチン、ミオシンフィラメント構造を収縮させて、開大させることにより、溶媒牽引による大分子の透過吸収を誘発することが知られているが、ラット、ガマ小腸で各種周波数交流によるインピ-ダンス測定により、その事は確認された。一方H^+と共輸送されることが確立されているジペプチド及びトリペプチドは、最大輸送速度の輸送を起こさせた状態でもインピ-ダンスの低下を誘発しない。又Na^+存在下で中性アミノ酸とペプチドが共存する場合、むしろ中性アミノ酸による開大作用は軽度となる。このことは両系共存の意義に新たな視点を与える。
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[Publications] Hoshi,T.: "Electrophysiology of Triturus nephron:Cable properties and electrogenic transport systems" Kidney international. 37. 157-170 (1990)
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[Publications] Nunokawa,T.and Hoshi,T.: "Electrophysiological study of L-lysine transport across Triturus proximal tubule:Evidence for Na^+-independent and Na^+-dependent exit." Renal Physiol.Biochem.13.
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[Publications] 星猛、布川朝雄、宮本有正: "尿細管における輸送系ーアミノ酸、ペプチド" 日本臨床. 47. 1519-1525 (1989)
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[Publications] 宮本有正、星猛: "尿細管輸送研究法の進歩ーバイオテクノロジ-のネフロン研究への応用" 日本臨床. 47. 1493-1497 (1989)
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[Publications] 星猛: "現代病理学大系15A、腎蔵I(飯島宗一他編)" 中山書店, 27 (1989)
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[Publications] 星猛: "臨床生理学シリ-ズ4.腎蔵(黒川清、今井正編)" 南江堂, 9 (1989)