1988 Fiscal Year Annual Research Report
炎症ホルモン産生器官としての多核白血球の新しい機能
Project/Area Number |
62480143
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉永 秀 熊本大学, 医学部, 教授 (90040196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 進 熊本大学, 医学部, 助手 (10094088)
後藤 文正 熊本大学, 医学部, 助手 (60186898)
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Keywords | 炎症 / 多核白血球 / IL1 / 蛋白合成能 / 炎症ホルモン |
Research Abstract |
昨年度までに準備したウサギIL1βのCDNA、CRNA、組み替え遺伝子産物、これに対する高タイターのヤギ抗血清を用いて、炎症の場に侵出した多核白血球によるIL1βの産生動態を明らかにすることさらに、この炎症ホルモンが確かに多核白血球によって合成されているとの確証を得ると同時に、このIL1以外の活性因子の産生についても検討を加えた。 その結果、炎症局所においてはIL1βmRNAの発現は2時間をピークとし、6時間まで検出される一過性のものが認められ、この時間帯に侵出している細胞は98-99%が多核白血球であること、この炎症2時間目の多核白血球を9.9.9%以上の純度にして、RNA分画を採取し、Northern分析をすると1.6KbのIL1βmRNAを保有することが確認された。また、抗IL1β抗体を用いた免疫組織化学で、炎症浸出細胞のうち、IL1β抗原を有する細胞のうち99%は多核白血球であることを実証した。IL1は一般にマクロファージが産生すると信じられているが、これは試験管内でのIL1産生のデーターに基いており急性炎症局所における主なIL1産生細胞が多核白血球であることを初めて実証した。 さらに、末梢血多核白血球、炎症早期、及び後期の多核白血球について、そのRNA合成能、蛋白合成能、新しく合成された蛋白の分析を行った結果、多核白血球は炎症局所に存在するほとんど全期間を通じて、RNA合成、蛋白合成を行っており、しかも炎症早期と後期とではその合成している蛋白の質が異なること、合成した蛋白の内、約3%は細胞外に遊離される物質であること、末梢血多核白血球にも試験管内で蛋白合成を誘導でき、この細胞外に遊離される、新しく合成されたIL1以外に少なくとも8種の蛋白があることをつきとめた。
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[Publications] 税田直樹、相良孝昭、吉永秀: 呼吸. (1989)
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[Publications] 相良孝昭、税田直樹、吉永秀: 輸液・栄養ジャーナル. 2. 119-124 (1989)
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[Publications] 森俊輔、後藤久美子、吉永秀: 免疫薬理. (1989)
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[Publications] 後藤文正: 蛋白質・核酸・酵素. 33. 1728-1741 (1988)
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[Publications] 大河原進、吉永秀: Excerpta Medica(Haemato-Immunology). 4. 3-8 (1988)
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[Publications] 大河原進、相良孝昭、税田直樹、吉永秀: 臨床免疫. 20. 127-138 (1988)
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[Publications] 吉永秀: "第11章「炎症」:山村雄一、吉利和監 「新医科学大系 8巻A」" 中山書店, 22 (1988)
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[Publications] 後藤文正、吉永秀: "第2章ペプチド性発熱因子、第3章病的条件における発熱因子とその作用、入來正躬 「発熱症候群」" 文光堂,