1988 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染感受性因子としての主要組織適合抗原の研究
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62480159
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Research Institution | Shiga University of Medical Sciensce |
Principal Investigator |
瀬戸 昭 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00025636)
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Keywords | T細胞白血病 / HTLVーI / 組織適合抗原 / 家兎 |
Research Abstract |
前年度の研究成果から、母兎がウイルス・キャリヤーでも、その仔がすべてウイルスに感染して血清抗体が陽転するわけではなく、血清抗体が陽転するかどうかは仔兎の遺伝形質によってきまることが示唆された。 本年度は主要組織適合抗原(MHA)遺伝子プローブを用いてMHAの遺伝子タイピングを行い、MHAと血清抗体陽転との関連を検討した。その結果、あるキャリヤー母獣から生まれた仔兎はすべて血清抗体が陽転し、その仔兎の中にはB/J,chbb:HM,F_1の3種のMHA型が含まれていたこと、また、別のキャリヤー母獣から生まれた仔兎の中に血清抗体が陽転したものとしなかったものがいたが、いずれも同じF_1型MHAを持っていたことが明らかになり、MHA型と血清抗体の陽転には密接な連関はないと結論された。 キャリヤー母獣から仔兎へのウイルス感染条件は整一化させることが出来ないので、同一のHTLVーIトランスフォーム細胞を同一量で新生仔兎に接種し、血清抗体の陽転化を検査した。その結果、B/J系ウイルス産生細胞を、B/J遺伝形質をもつ新生仔に接種した場合にはウイルス感染が成立しているにも拘らず血清抗体が陽転しないことが明かとなった。この際接種に用いたウイルス産生細胞株のla抗原(クラスII MHA)は陽性であっても陰性であっても血清抗体は産生されず、この結果からもMHAと抗体応答性は密接な連関がないと考えられていた。しかし、B/J 系家兎の持つ何らかの遺伝形質が抗ウイルス免疫不応答性と関係していることが明らかになった。 以上のように、HTLVーIの感染とそれに対する免疫不応答性には何らかの遺伝形質が関与することを実験的に示すことが出来たが、主要組織適合抗原との関連については否定的であった。
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[Publications] Akira,Seto: Journal Experimental Medicine.168. 2409-2414 (1988)
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[Publications] Katsuhiko,Ogawa: Leukemia Research.