Research Abstract |
1昭和62年度は, 外科的に切除された大腸癌病巣の組織学的検索を行い, 同時に癌細胞を単離し, Feulgen染色を行い癌細胞の核DNA量を測定, 核DNA量ヒストグラムを作製, ヒストグラムパターンを以下の つの群に分けて悪性度の解析を行った. I型:Peak値が2c付近に存在し, over4cが20%未満. II型:peak値が2c付近に存在し, over4cが20%以上. III型:peak値が2.5c以上に存在し, over4cが20%未満, IV型:peak値が2.5c以上に存在し, over4cが20%以上. 2結果:(1)各群の内訳は, I型(17例), II型(16例), III型(8例), IV型(35例)でありdiploid pattern(I,II型)は43%, aneuploid pattern(III,IV型)は57%であった. (2)壁深達度別にみるとm,smではI,II型が84.6%, III, IV型が15.4%であった. リンパ節転移陽性率はI型53%, II型63%, III型50%, IV型77%であり, またリンパ管侵〓もI型41%, II型50%, III型60%, IV型74%とhigh ploidyほど陽性率が高くなる傾向がみられた. 以上より核DNA量ヒストグラムパターンがhigh plpidyになるほど悪性度が高くなる. 3今後の研究課題としては, (1)前癌病変である腺腫を軽度異型, 中等度異型, 高度異型に分け, 核 量の比較. (2)癌腫の進行度, 部位, 病理組織型別比較を行うと伴に, (3)原発巣とリンバ節転移の比較. (4)原発巣と肝転移巣, 肺転移巣の比較検討を行い大腸癌の悪性度の傾向を明確にする. (5)好転移癌あるいは悪性度に高の癌巣が原発巣中で占める部位あるいは面積より癌の悪性度を明らかにする. 以上を検討することにより, 現在の悪性度は面積の最も広い(predominant)組織型を病理学的な癌の悪性度としているが, 癌の悪性度は最も悪性度の高い部位で決められなければならない. そこで癌の悪性度のプロトコールをDNA量より作成する.
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