1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリン加工膜型人工肺に関する基礎的並びに臨床的研究
Project/Area Number |
62480330
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兒玉 謙次 九州大学, 医学部, 助手 (20136451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉武 潤一 九州大学, 医学部, 教授 (10041386)
高橋 成輔 九州大学, 医学部, 助教授 (30038723)
谷山 卓郎 九州大学, 医学部, 講師 (70117167)
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Keywords | 成人呼吸窮迫症候群 / 呼吸不全 / 膜型人工肺 / 体外循環 / Heparin Surface / 抗血栓性素材 |
Research Abstract |
成人呼吸窮迫症候群などの呼吸不全症例に対して膜型人工肺による呼吸補助を行なう場合、従来の方法では体外循環維維のためのヘパリン全身投与による出血傾向が最大の問題であった。我々は1985年以来新しい抗血詮性素材であるHeparin Surfaceについてスウェーデンのカロリンスカ研究所と共同研究を続けており、昨年度はHeparin Surface膜型人工肺を使った、雑種成犬でヘパリン非投与でArterio-Venous Bypassによる部分体外循環を24時間維持することに成功した。本年度は、Heparin Surface膜型人工肺臨床応用の安全性をより高める目的でVeno-Venous Bypassによる同様の実験を行なった。体外循環施行中血小板数や凝固時間などに著変なく、循環動態も安定していた。呼吸は、気管内挿管後気管内チューブを通して先端が気管分岐部に位置する様にカテーテルを留置し、そのカテーテルより酸素(2l/分)を投与し自発呼吸とした。体外循環開始後、自発呼吸は消失し動脈血ガス分析の結果は、体温低下によると思われる軽度の代謝性アシドーシスを認めた以外著変なく、24時間を通して酸素化も炭酸ガス排出も良好に維持されていた。また、昨年度の実験と同様に、体外循環開始後約6時間で回路内の血流うっ帯部位に一致して微小な血栓形成が認められ、体外循環回路の流体力学的改良の必要性が示唆された。一連の実験結果から、6時間以内であればヘパリン非投与で安全にVeno-Venous Bypassが施行できるという結論を得ることができたので、気管分岐部腫瘍切除再建術の症例においてHeparin Surface膜型人工肺を準備した。実際施行するには至らなかったが、今後安全で有効な呼吸補助法として臨床応用を確立したいと考えている。Heparin Surfaceの抗血栓機構については、本年度はPladminおよびKallikreinとHeparin Surfaceの相互反応について検討したが、明かな相互反応は認められず、現在他の凝固因子との反応を検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鮎川勝彦: 臨床麻酔. 12. 1453-1456 (1988)
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[Publications] 児玉謙次: 侵襲時の体液・代謝管理. 3. 34-39 (1988)
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[Publications] Claes Arnander: "Surfaces with End-Point Attached Heparin:A study on the thromboresistant properties with special reference to passible application on vascular prosthesis" Claes Arnander, 1-117 (1988)