1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480345
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
真木 正博 秋田大学, 医学部, 教授 (20003379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一関 和子 秋田大学, 医学部, 助手 (60006757)
曽我 賢次 秋田大学, 医学部, 助手 (70143055)
樋口 誠一 秋田大学, 医学部, 講師 (20006779)
|
Keywords | 羊水塞栓 / 羊水特異蛋白 / ソマトメジン結合蛋白 / カルフォバインティン / ポルティリン |
Research Abstract |
羊水塞栓症はきわめて重篤な超急性疾患で, 産科領域での医事紛争の主要な原因となっている. その確定診断は現在のところ剖検による他にない. 私たちは, 羊水のみに存在し, 母体血中にはない特異物質が存在するならば, それをマーカーにして, 羊水の母体血中への移行の有無を知ることができ, そのことによって, 羊水塞栓の非剖検的診断が可能であろうとの作業仮説をたてた. まず, プロテインA, 抗ヒト血清抗体とのコンプレックスに羊水を加え, 血清と羊水との共通蛋白質を沈澱させ, 上清分画に羊水特異蛋白を得た. これを, 各種クロマトグラフィーや電気泳動的抽出法により精製した. さらにきわめて力価の高い本物質に対する抗体を作製した. 本物質は妊娠14週には羊水中に意現し, また脱落膜にも存在することが明らかにされた. 種々検討を重ねているうちに, 本物質は分子量, 等電点などから, 胎盤蛋白のひとつであるソマトメジン結合蛋白(BohnのPP_<12>に相当)と類似していることがわかりBohnとの国際協力的研究により, PP_<12>とわれわれの物質とは全く同一物質であることが明らかにされた. 本物質の羊水中濃度は, 妊婦血清中の100〜1,000倍もあるため, 相対的に羊水中の特異蛋白として認識されたものと考えられる. したがって, 今後はこのソマトメジン結合蛋白のみならず, カルフオバインディン(私たちの発見した胎盤性抗凝固物質, 羊水中に多く, 血中には微量に存在), さらには非蛋白性羊水物質, 例えば, 胎児尿成分(コプロポルフィリン)や胎糞成分などを同時に測定し, 総合的なパラメーターからの判定が必要になってきた.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Maki.M;et al: Cynecologic and Obstetrics Investigation. 23(4). 230-240 (1987)
-
[Publications] Iwasaki.A;Maki.M;et al: J.Biochem. 102(5). 1261-1273 (1987)
-
[Publications] 真木正博: 日産婦学会誌.