1988 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー血流計による抜歯窩内の骨形成および残遺歯槽堤の骨吸収機序の解明
Project/Area Number |
62480394
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
芝 〓彦 昭和大学, 歯学部, 教授 (70013969)
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Keywords | レーザードップラー血流計 / インプラント / ハイドロキシアパタイト / 歯槽骨の吸収と形成 |
Research Abstract |
昨年度行った基礎的検索をもとにして4頭の成犬(体重8〜14Kg)を用いて抜歯したまま放置する群(コントロール群)と抜歯窩へハイドロキシアバタイトを挿入する群(HAP群)とに分け、それぞれの治癒過程における血流量の測定を行った。血流の測定は抜歯後1,3,7,14,21,28日目に行った。術後1日目ではコントロール群は平常時の平均血流量100%とすると145%、HAP群は142%とほぼ同じ程度の上昇を示した。3日目ではコントロール群210%、HAP群156%となり、コントロール群の方が大きな値を示した。これは血餅期から肉芽組織へ移行する初期の時期に相当し、血流量の増加がみられたものと考える。7日目ではコントロール群132%、HAP群120%と減少し、14日目ではコントロール群253%、HAP群172%と上昇した。これは未分化間葉細胞が骨芽細胞に変化し、また歯槽骨の壁から被骨細胞の形成が旺盛になるという活発な骨改造期に相当する。術後21日目ではコントロール群120%、HAP群100%、28日目ではコントロール群106%、HAP群101%とほぼ平常時の血流量となった。コントロール群とHAP群とは同じような動態を示しているが、コントロール群の方が血流量が高い値を示したのはその体積の違いに起因していると推測された。 抜歯窩治療過程の病理組織学的観察では、コントロール群は術後1〜3日で抜歯創が地餅で充満、7〜14日後で地餅が肉芽組織に置換、2ケ月後で抜歯窩は骨梁で覆われ、3ケ月後では骨組織で充満された。一方HAP人工歯根挿入部位では、術後14日目に人工歯根と歯槽骨との間に線維性結合組織の増殖と一部に骨の形成を認めた。1ケ月後で歯槽骨中隔先端との間に骨性癒着を示し、術後3ケ月では成熟した周囲骨と骨性癒着を示し、その後は骨性癒着を持続し、残遺歯槽堤の吸収はコントロール群と比較して抑制されていた。
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