1988 Fiscal Year Annual Research Report
病態時における抗不整脈剤の体内動態と薬理反応変化の相関解析
Project/Area Number |
62480431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 了平 京都大学, 医学部, 教授 (40001036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 恒太郎 京都大学, 医学部, 講師 (80127084)
谷川原 祐介 京都大学, 医学部, 助手 (30179832)
神谷 晃 京都大学, 医学部, 講師 (90124792)
乾 賢一 京都大学, 医学部, 助教授 (70034030)
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Keywords | 抗不整脈剤 / 薬物体内動態 / 薬理効果 / 不整脈 / アジマリン / 病態 / 甲状腺機能亢進 / 心拍数依存性 |
Research Abstract |
不整脈の薬物療法においては治療効果に著しい固体差が認められ、臨床上重要な問題とされている。本研究では、このような固体差を生ずる原因として心臓機能に影響を及ぼす可能性にある各種病態に着目し、病態時における抗不整脈剤の体内動態と薬理効果の関係につき系統的な検討を加える。研究計画2年目の本年度においては以下の成果を得た。 1.正常ラットおよび3,5,3′ートリヨードーLーチロニンを4日間連続投与して作成した甲状腺機能亢進症モデルラットに、抗不整脈剤アジマリンを静脈内投与し、経時的に採血と心電図記録を行った。アジマリン血中濃度変化を2ーコンパートメントモデルを用いて解析すると、正常ラットに比し甲状腺機能亢進ラットでは分布容積の減少と全身クリアランスの増加傾向が認められた。 2.ラット血漿蛋白に対するアジマリンの結合には飽和性が認められ、1種類の結合部位を仮定した結合モデルで解析すると、甲状腺機能亢進ラットの血漿ではアジマリンに対する結合能が有意な増大を示した。 3.アジマリンによ心電図上PQ間隔の延長を薬理効果の指標とし、血漿中非結合型薬物濃度に対する関係をみると、同一薬物濃度において甲状腺機能亢進ラットではより大きなPQ間隔の延長が認められ、アジマリンに対する感受性が上昇していることが明らかとなった。 4.適出心灌流実験系においてもアジマリンの伝導抑制燥効果が観察され、電気刺激により心拍数を変化させると、心拍数の増加に併い伝導抑制効果は増強した。このアジマリン作用の心拍数依存性には正常と甲状腺機能亢進症ラット間では差は認められなかった。 以上の結果より、甲状腺機能亢進時に認められたアジマリンに対する感受性増大は、甲状腺機能亢進に併う心拍数の増大とアジマリン作用の心拍数依存性に基づくものと推察された。
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[Publications] K.Okumura: Br.J.Pharmacol.93. 827-932 (1988)
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[Publications] K.Inui: Am.J.Physiol.254. C251-C257 (1988)
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[Publications] R.Hori: J.Pharm.Sci.77. 471-476 (1988)
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[Publications] H.Maegawa: J.Biol.Chem.263. 11150-11154 (1988)
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[Publications] R.Hori: J.Pharm.Pharmacol.40. 646-647 (1988)
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[Publications] Y.Hashimoto: Br.J.Pharmacol.96. 163-169 (1989)
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[Publications] 堀了平: "薬物血中濃度モニタリングのためのPopulation Pharmacokinetics入門" 薬業時報社, 1-300 (1988)
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[Publications] 堀了平: "生物学的利用能" ソフトサイエンス社, 333(312-326) (1988)