1989 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の健康増進のための最低運動量と限界負荷量について
Project/Area Number |
62480445
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 稔 京都大学, 教養部, 教授 (80026814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一生 神戸大学, 教育学部, 教授 (70026714)
神原 啓文 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50109005)
森谷 敏夫 京都大学, 教養部, 助教授 (90175638)
八木 保 京都大学, 教養部, 助教授 (30026786)
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Keywords | 高齢者 / 壮年体力測定 / 定期的トレ-ニング / Exhaustion test / 最大酸素摂取量 / 収縮期血圧値 / 心電図異常(VPC,ST-T変異) / 限界負荷量 |
Research Abstract |
昭和62年度及び63年度の研究で、高齢者の体力は平均寿命の延長と共に、若干づつ向上しているが70歳を越えると急激に低下することを明らかにした。 本年度は、60〜85歳の20名の高齢者(男子8名、女子12名)に、定期的に身体運動によるトレ-ニングを実施させて、体力がどの程度向上するかを調べた。 トレ-ニングは毎週2回で、1回は体育館でミニ・テニスや卓球などの軽スポ-ツを行ない、他の1回はトレ-ニング室で、自転車エルゴメ-タ-労作、トレッドミル歩行等の器械を使った持久力のトレ-ニングを実施した。トレ-ニングの期間は平成元年5月〜11月の6ヵ月で、トレ-ニング開始前、トレ-ニング中間期及びトレ-ニング終了後の3回の体力測定を実施して、定期的な身体運動による効果を調べた。体力測定の種目は、文部省の壮年体力測定に準ずる測定種目のほかに、自転車エルゴメ-タ-を用いて負荷漸増法によるExhaustion testを実施し、各人の最大酸素摂取量を求め、その際運動中の心電図ならびに血圧値を測定して、限界負荷量を推定した。高齢者では、体力の初期水準がまちまちで、トレ-ニング効果も被検者によって大きな差があるが、平均的には、筋力や柔軟性の増加は比較的早いが、持久力や敏捷性の向上には時間がかかるということができる。また、最大酸素摂取量は、中間期では殆んど増加しなかったが、最終テストでは平均して20%程度の増加を示した。高齢者の限界負荷量としては、個人差が大で一概に言えないが、心拍数160拍/分、収縮期血圧200mmHgを一応の指標とすることができる。また、運動中の心電図監視によって、VPC、ST-T変異等に着目すれば、更に有効な限界負荷量の決定が可能であろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 伊藤稔,川初清典,神原啓文他: "虚血性心疾患から回復した慢性維持期患者の自己管理による運動処方の作成" デサントスポ-ツ科学. 8. 75-84 (1987)
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[Publications] 伊藤稔,伊藤一生他: "高齢者の体力の現状とそのトレ-ニング効果について" 大阪ガス福祉財団研究調査報告集. 1. 65-72 (1988)
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[Publications] M.ITOH,K.ITOH,C.HIROFUJI et al.: "A Study on the Physical Fitness of the Old-Aged and their Trainability." New Horizons of Human Movement. III. 199 (1988)
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[Publications] 伊藤稔,伊藤一生,森谷敏夫他: "高齢者の体力の現状とそのトレ-ニング効果について" 体力科学. 38. (1989)
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[Publications] 伊藤稔,八木保,森谷敏夫,神原啓文他: "高齢者の健康増進のための最低運動量と限界負荷量について" 京都体育学研究. 6. (1990)
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[Publications] 神原啓文,川初清典,伊藤稔他: "心臓病のスポ-ツリハビリテ-ション" 杏林書院, 265 (1989)