Research Abstract |
当初計画に従い, 現実音(航空機騒音, 新幹線騒音, 鉄道騒音, 自動車交通騒音, 建設騒音, 音楽, 音声など)を収集し, 磁気テープに録音した. また, 「リアルタイム刺激反応計測装置」を用いて種々のレベル変化パタン, 周波数成分を持った音を作成した. これらの音源の内5種類の音源, 各4レベル, 計20刺激を用いて, 日本人学生93名を対象に予備実験を行った. 32の形容詞を選び, 被験者に配布し, 各音源を聞いて, その印象を表現するのにふさわしいと思われる形容詞をリストの中から3つ選択し, その順位をつけて記入するように求めた. これらの結果, (1)"大きい"は"やかましい", "うるさい"とは異なる音の属性を表す用語であり, 昔のnegativeな側面を表現するには適切な用語ではない, (2)"やかましい", "うるさい"は同義語として用いられる場合が多いが, 音質が悪い音には"やかましい", 敵意レベルを越えた音声などには"うるさい"といったように使い分けられていることなどが示唆された. この予備実験の結果をふまえ, 本実験に使用する音源24種(6音源×4レベル)を決定した. これらの音源を相手国の設備に合わせたテープ(PCM, DAT, など)にダビングし, 西ドイツ(Oldenburg大学Schick教授), アメリカ(Northeatern大学Florentine準教授), スウェーデン(Stockholm大学Berglund教授), 中国(中国科学院鄭副教授)に実験を依頼した. スウェーデンの対応は早く, 120人の学生を対象に実験を行い, 1987年10月上旬にはデータを入手することができた. 予備的な分析の結果, スウェーデンでは"大きい", "堂々とした", "きたない"などの形容詞の使用に日本と異なる傾向がみられた. 来年度は日本でも同じ音源を用いて, 本実験を実施するとともに, 各国のデータの分析と比較, 並びに, 音源の物理的性質を精密に測定し, 音の情緒的印象との関係を検討する.
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