1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510053
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
難波 精一郎 大阪大学, 教養部, 教授 (40029616)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 園子 大阪大学, 教養部, 講師 (00030015)
|
Keywords | 音源記述選択法 / 音の情緒的印象 / クロスカルチュラル研究 / 騒音評価 / 意味の測定 |
Research Abstract |
昨年度より、日常体験、特に情緒的印象を表現するのに、いかなる記述法を用いるかについて騒音問題を例として検討してきたが、本年度は日本で本実験を行うとともに、あらたに西ドイツ、中国の結果が得られたので、先に得られたスウェーデンの結果とあわせて分析を行い、比較検討した。即ち、騒音を表現する用語に関して、先にわれわれが提案した音源記述選択法を用いて、様々な音の印象がどのような言葉で表現されるかについて比較検討を行った。その結果、"大きい"は、日本、スウェーデンとも主として音楽と音声に、西ドイツでは多くの音源に用いられ、一方、中国では音の表現にほとんど用いられていないことがわかった。"やかましい"、"うるさい"についても各国でかなり相違が認められた。特に日本では2つの用語の選択比率は類似しており、音源のレベルが高いほどこれらの言葉が選ばれる比率も上昇している。一方、他の国では音声に"やかましい"を選択していない。スウェーデン、中国では交通騒音に"やかましい"、建設騒音に"うるさい"がより多く選択され、かつ日本を除く各国において"うるさい"は音源があるレベルを越えると、レベルに関係なく選択されている。このことは、日本を除く各国において、"やかましい"という用語はレベルの高い音、音質の悪い音に用いられ、"うるさい"は音源から受ける迷惑度を表現する言葉として区別されていることを示唆している。別途、日本と西ドイツで実施した実験で、人工音では"うるささ"判断と"大きさ"判断には差がみられなかったが、現実音の判断においては両者の間に大きな差がみられたことはこの解釈を支持する根拠の1つとなっている。現在大きさの測定法の国際標準としてISO532、やかましさの測定法としてISO/R507があるが、その適用に際しては、各国における用語の意味の相違について考察する必要があろう。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Seiichiro Namba: Journal of the Acoustical Society of Japan(E). 8. 211-222 (1987)
-
[Publications] Sonoko Kuwano: Proceedings of the 5th International Congress on Noise as a Public Health Problem. 3. 223-228 (1988)
-
[Publications] 難波精一郎: 日本音響学会誌. 44. 775-780 (1988)
-
[Publications] Sonoko Kuwano: Journal of Sound and Vibration. 127. 457-465 (1988)