1988 Fiscal Year Annual Research Report
戦後改革期における地域住民組織の展開と機能に関する研究ーー京都、東京を中心としてーー
Project/Area Number |
62510105
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
吉原 直樹 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (20140113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 惟一 関西大学, 法学部, 教授 (40067715)
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Keywords | 占領体制 / GHQ / 都市町内会 / 地域住民組織 / 政令第15号 / 日赤奉仕団 / 広報委員会 |
Research Abstract |
戦後改革期(占領期)の地域住民組織のあり様を検討する場合には、まず戦前および戦時体制下におけるそれとの継承性の中身が問われる。そこで上田惟一が京都市を事例にとり、昭和17〜8年の事務機構強化の経緯を探るなかで、戦時下の町内会の動向(一端)を考察した。さて、翼賛体制下にその末端機構に組み入れられた町内会は、政令第15号によって禁止されるのだが、終戦直後にはいわゆる全般的窮乏化と相俟って町内会の包括的機能の発揮が官、民の両サイドから期待される。そこで吉原は、GHQ/SCAPのCIEレポートの翻訳によってその間の東京の町内会の位置と機能を明らかにした。 また吉原は、政令第15号の政策的背景を探るために、戦前にまで遡ってOSS→GHQの町内会認識の推移を検討した。この過程は地方制度改革の進展と軌を一にしており、その根幹に伏在するものを理解する上で極めて重要であることがわかる。こうした文脈からのGHQの町内会認識の検討は、わが国ではおそらく吉原が最初であろう、と考えられる。 さて本年度は、以上の点を明らかにするために、国立国会図書館所蔵のSCAP文書;京都府総合資料館、歴史博物館所蔵の町内関係文書の解読に明け暮れたが、同時に報告書作成に向けて研究代表者と分担者の間で数字にわたる協議を重ねた。全体として、本研究によって占領期における都市町内会の活動の実態とそれが当該時代相においてもつ社会的意味が明らかにされたと考えるが、なお多くの課題が残されていることも事実だ。その中でも特に緊要性をもつ課題としては、収集しただけで必ずしも充分に使い切れていない資料をどうするかということである。いずれ近い裡に再度整序して、資料集という形で公表できれば、と考えているが。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 上田惟一: 関西大学法学論集. 38-2・3. 127-166 (1988)
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[Publications] 吉原直樹: "占領期における都市町内会" ミネルヴァ書房, (1989)