1987 Fiscal Year Annual Research Report
条坊・条里研究史に関する資料収集とその研究-北浦定政を中心として-
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62510185
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
岩本 次郎 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 情報資料室長 (20124232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木全 敬蔵 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・研究指導部, 測量研究室長 (30099957)
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Keywords | 条坊 / 条里 / 平城京 / 山陵 / 国学 / 本居内遠 / 本居豊頴 |
Research Abstract |
一眼レフニコンF3(マイクロニッコールつき)を購入し, 62年7月・63年1月・2月の3回にわたって, 北浦定政の曽孫北浦直人氏所蔵の史料について写真撮影ならびに調査を行った. 撮影コマ数は系譜・書翰類など約1400コマ(ライカ判), 絵図類は48枚(白黒20枚, カラー28枚)であった. 現在, これらの写真焼付について, その人名・地名の記載を分類整理する一方, 一部について本文解読を進めつつある. また絵図に関しては, 北浦定政の地理学的素養を知るために, 地物記号について検討を行った. 定政あてに寄せられた書翰類の差出人についてのみの調査結果を記せば, 下記のとおりである. 従来, 喜田貞吉・本多辰次郎らの研究によって, 本居内遠・大田垣蓮月尼など数名の幕末の国学者との交わりは知られていたが, 今回の収集資料のうち, 約2分の1を整理した段階でありながら, 交流関係者は約50名に上ることが明らかとなった. その内訳は山陵研究家, 本居系の国学者, 歌人, 藤堂藩士などである. これらの人々のうち, 本居太平・内遠・豊頴ら, 本居家に連なる著名な国学者を除くと, 多くは今までの幕末史に登場しなかった人々であり, その中にはいわゆる"草莽の国学者"も多数いるはずである. 現に天誅組に関与し, のち京都の獄舎で斬られた伴林光平もその中の1人であるが, 最も著名な方に属すると思われる. 学術上の問題意識としては, これらの人々の出身・素性を一人でも多く明白にすることにより, 山陵研究から平城京の研究そして大和国条理制の研究へと進展していった, 定政の思想の形成とその研究活動を支えたバックボーンが明確になると思われる. このことは, ひいては明治維新史に新しい側面が開かれることにもなろう.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 木全 敬蔵: 昭和62年度国際地団学会. (1987)
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[Publications] 木村 芳一: "奈良県史4条里制(岩本次郎「北浦定政の条里制研究」)" 株式会社名著出版, 691 (1987)