1988 Fiscal Year Annual Research Report
条坊・条里研究史に関する資料収集とその研究-北浦定政を中心として-
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62510185
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Research Institution | Nara National Museum |
Principal Investigator |
岩本 次郎 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 情報資料室長 (20124232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木全 敬蔵 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター研究指導部, 測量研究室長 (30099957)
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Keywords | 方格地割 / 都城制 / 平城京 / 条里制 / 山陵 / 国学 / 和歌 |
Research Abstract |
昭和63年8つ月18日に、三重県上野市立図書館に出向き、入交太郎右衛門の伝記資料について調査した。入交は北浦定政が勤めていた、藤堂藩城和奉行所(奈良市古市町所在)の奉行であったが、のち伊賀郡奉行、津の郡奉所を勤めており、定政の思想形成に影響を与えた所が大であったと思われる。すなわち定政あてに現存53通の書信を送っているが、その中には、「外夷を防ぐの術を論ず」との所論もある。 続いて翌19日には、松阪市の本居宣長記念館を訪ね、本居家一族の資料について調査した。定政は宣長の養孫内遠の門下生で、内遠の子豊穎とも深い交わりがあった。本居一族から定政あての書信は現存24通である。残念ながら定政から本居家に充てたものは、記念館には存在しない。 同月24・25両日には北浦直人(定政の曽孫)所蔵文書の調査を行った。そのうち写真撮影は、ライカ判で624コマであり、内容は書翰、詠草、短冊などである。62年度分と合わせると計2013コマに及ぶこととなった。 さて、これらの史料調査により明らかなったことは、従来、喜田貞吉・本多辰次郎らの研究によって、本居内遠、大田垣蓮月民など数名の幕末の国学者・勤王志士との交わりが知られているにすぎなかったが本調査によって、交友関係者は約60名に達することが明白となり、その範囲も、平塚瓢斎、谷森善臣らの山陵研究家、本居家とそれに連なる松阪・和歌山の国学者および歌人、津、上野、古市における藤堂藩士、地元奈良における伴林光平、富田光美、荒川重郷らの文人立ちと、意外に広いことが判明した。幕末史上、無名の人々も多く、今後はこれらの人々のうち一人でも多く素姓を明らかにすることによって、より具体的に定政の伝記を浮彫りにしたいと考えるものである。 なお、平成元年度には、上記の成果に関する概要と調査記録を一冊にまとめて報告書を作成する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 木村芳一: "奈良県史 第4巻 条里制" 名著出版, 3-82 (1987)
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[Publications] 岩本次郎: "古代史論集 上" 塙書房, 351-374 (1988)