1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62510222
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡内 三眞 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (90093210)
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Keywords | 古代史 / 東アジア史 / 青銅器時代 / 銅剣 / 金属器製作技術 / 鋳造技術 / 鋳型 / 研磨加工 |
Research Abstract |
2年次を迎えた昭和63年度は、前年度にひきつづき資料やデータの収集を精力的に行なった。また資料、データの分析にも意をそそぎ、いくつかの新しい研究成果を得ることができた。それらについては、学会での口頭発表や論文等で遂次公表している。 1.東アジア各地での青銅器制作の具体的なあり方を探るために、報告書や論文などから資料やデータを抽出し、必要に応じて複写した。報告書等で入手できないものは、京都大学をはじめとする研究機関に依頼して、コピーをとり資料の収集に努めた。 2.青銅器の制作技術を明らかにするため、青銅製品そのものに残された制作技術の微細な痕跡を、光学機器を用いて観察し、分析を試みた。東アジアの青銅器では、中国の資料が最も精美に仕上げ加工を施し、朝鮮、日本の順に粗雑になることを確かめた。 3.収集したデータをもとにして、東アジア青銅器の関連遺跡地名表、遺物台帳を作成中である。これをもとに青銅器鋳金型の分布を東アジアで調べると、中国では土製鋳型が多く、朝鮮、日本の順で土製鋳型は少なくなり、石製鋳型が増加する事実が判明した。このことは青銅器鋳造の中心地とその周縁地帯での差異による現象と解釈できる。 4.上記の各項から、青銅器の制作技術には地域差があることが明確となった。そこで特に中間地帯の朝鮮をとりあげて、朝鮮の中での青銅器文化の地域性を検討している。来年度は日本をとりあげる。 5.来年度は研究の最終年度にあたるため、収集し分析したデータをもとに東アジア青銅器製作技術の研究の総合化と体系化とをはかり、学術研究成果の公表を行ないたい。特に日本の弥生時代の青銅器文化は、東アジアの青銅器文化の中でも特異な存在であることが明らかになりつつあるので、この点に研究の力をそそぐつもりである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 岡内三眞: シンポジウム・青銅器の生産、終末期古墳の諸問題. (1989)
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[Publications] 岡内三眞: 弥生文化の研究〈道具と技術〉II. 6. 83-94 (1988)
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[Publications] 岡内三眞: 弥生文化の研究〈研究の歩み〉. 10. 31-45 (1988)
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[Publications] 岡内三眞: 季刊 考古学〈青銅器の生産と流通〉. 27. (1989)
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[Publications] 岡内三眞: 古代史復原〈弥生人の造形〉. 5. 57-72 (1989)