1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540195
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
上柿 英二 秋田大学, 教育学部, 助教授 (10113888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 恭久 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (80000868)
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Keywords | 重イオン散乱 / 分子的共鳴 / 核構造 / クラスター |
Research Abstract |
sd核間の重イオン散乱、^<24>Mg+^<24>Mgや^<28>Si+^<28>Si等での共鳴現象を分子論的模型によって分析することが本研究の目的である。本年度は^<24>Mg+^<24>Mgについてエネルギースペクトル及び崩壊幅の分析が進められた。^<24>Mg+^<24>Mgでは、2つの^<24>Mg核が接触して安定になる配位が極-極配位にある。基準振動は以下のように明かとなった。2核間相互のねじれのモードは回転的であり、極の傾きの自由度β_1とβ_2は内部回転自由度α_1、α_2とあわせて丁度2次元の振動子の様相を持つ。従って自由度βは遠心力ポテンシャルをともなった形で運動方程式に表れ、回転自由度と振動自由度は縮退的なエネルギー量子をもつ。これらの解は解析的に得られたので、崩壊幅の分析を引続き進めた。その結果、回転の量子数Kとνの組合せに大きな特徴のあるチャネル分布を得た。特に角運動量規則によりK=ν=0の状態のみが入射チャンネル成分を持ち得ることが明かとなり、共鳴状態として観測され得る状態の判別基準の1つを得た。また高スピン状態へ崩壊するチャンネルでの幅では、K=ν=4状態など片方の核のみが良く回転しているK-νモード、成分の強い集中が特徴的に認められた。これらの結果は88年クラスター国際会議で発表された。後半期には更に精度をあげた運動の分析を行った。すなわち極の傾きの方向の一致、不一致は核間相互の捻れで決まる。その引力が強ければ、振動的に、捻れる運動とそれが解ける運動を繰り返すわけである。しかしこの束縛は弱くて自由度αが回転的であるとの結論を得ているので、この引力効果を2次的なものと考えて、基準振動をベースにして対角化する方法を用いてこの運動を解いた。この結果、著しく縮退していたレベルが分離したスペクトラムを得た。得られたレベルのうちではK=0状態が共鳴として観測される可能性が高く、そのレベル密度は実験で得られているものとよく一致する事が明らとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 上柿英二: Proc.5th Intern.Conf.on Clustering Aspects in Nuclear and Subnuclear Systems(Kyoto,Japan,1988)Contributed Papers. 106-107 (1988)
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[Publications] 上柿英二: Proc.5th Intern.Conf.on Clustering Aspects in Nuclear and Subnuclear Systems(Kyoto,Japan,1988)Contributed Papers. 108-109 (1988)
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[Publications] 上柿英二: Proc.5th Intern.Conf.on Clustering Aspects in Nuclear and Subnuclear Systems(Kyoto,Japan,1988)Contributed Papers. 432-433 (1988)
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[Publications] 上柿英二: Proc.5th Intern.Conf.on Clustering Aspects in Nuclear and Subnuclear Systems(Kyoto,Japan,1988):J.Phys.Soc.Jpn.Suppl.58. 330-337 (1989)
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[Publications] 阿部恭久: Proc.Intern.Sympo.on Developments of Nuclear Cluster Dynamics(Sapporo,Japan,1988):World Scientific Publishing Co.Pte.Ltd.
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[Publications] 上柿英二: Physic Letters in preparation.