1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 研介 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40151287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健司 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (80183953)
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Keywords | 量子カオス / 動的摂動活性 / エルゴード性 / 混合性 / 高次元量子カオス / 一次元乱流系 / リアプノフ解析 / 情報流率法 |
Research Abstract |
本研究では高次元(高自由度)系でみられるカオス現象を量子(保存)系及び古典(散逸)系において解明しようとするものである. (1)量子系の研究-まづ一次元量子カオス系に潜在するカオスとしての性質が外部摂動によって顕在化してゆく特性(動的摂動活性)が, 計算機シミュレーションによって徹底的に調べられた. 観測過程の影響や古典摂動の効果が調べられ, 観測過程によって量子系が古典系に転移する現象の存在や, 動的摂動活性の異常な特性の存在が明らかにされた. これらの研究から, 従来古典系と著しいギャップをもつと考えられていた量子系でも, 古典カオスと等価なエルゴード性や混合性が潜在していることが明らかにされると同時に, 量子系固有の異常な挙動の存在が解明された. これらの基礎的研究からえられた知見を基に, 高次元量子カオス系の研究も開始され, 一次元カオス系では予想されなかった劇的な性質の存在が, 予備研究の段階で既に発見されている. (2)古典系の研究-空間一次元の乱流系をモデルにとって, リアプノフ解析によって高次元アトラクターの位相構造が調べられた. 特に位相乱流系, バーガース乱流系での詳細な研究がなされ, アトラクタの次元, リアプノフスペクトル, 波形の間欠性(cirterxittency)の間に存在するかなり普遍的な結果が得られた. 同時に情報流率法によって波数空間でみた間欠性の伝播過程が調べられた. この結果, 従来慣性小領域と考えられていた波数領域が, 乱れの生成に殆んど関与していないという, 当初の予想を裏切る結果が得られたことが特筆に値する. 情報流率法による解析は目下のところ, 光乱流系でしか成功していないが, 位相乱流系, バーガース系更にはナヴイエーストークス系への適用が目下試みられている. これが成功すれば乱流の動的特性の情報理論的解釈が可能になり, 乱流現象の理論的研究に重要な貢献をなすことが期待される.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 足立聡, 戸田幹人, 池田研介: Journal of Physics A.
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[Publications] 足立聡, 戸田幹人, 池田研介: Physical Review Letters.