1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
Project/Area Number |
62540491
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生態学
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Research Institution | The University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 宏一 筑波大学, 生物科 (00114124)
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Project Period (FY) |
1987 – 1988
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Keywords | 種内競争 / 寄生蜂 / 重複寄生 / マメゾウムシ / 干渉型競争 / 消費型競争 |
Research Abstract |
本年度は特に寄生蜂幼虫の寄主をめぐる種内競争の機構の解明に焦点を合わせた. まず研究の第一段階として, 本研究で用いる材料であるアズキゾウムシの幼虫・蛹に寄生する3種の寄生蜂, Anisopteromalus calandrae,Dinarmus basalis,Heterospilus prosopidis, が本研究の意図する目的に合致する性質を持っていることを確認した. 即ち, 1匹の寄主に対して短期間に重複寄生すること(同時重複寄生), 及び, 先に寄生された寄主に対して一定時間後に重複寄生すること(時間差重複寄生)を確認した. これによって, 1匹の寄主をめぐって寄生蜂幼虫間に種内競争の存在することが証明された. 次に, 豆内でおこる寄生蜂幼虫の競争を直接観察する方法を確立した. 即ち, 豆内の寄主幼虫を取り出し, 特殊容器に写し, 別に採取した寄生蜂卵・幼虫を寄主幼虫上に移植することによって, 寄生蜂幼虫間の競争の機構を直接実体顕微鏡下で観察可能であることを確認した. 上記の方法を用いて, 寄生蜂幼虫の種内競争を調べた. 1匹の寄主に同時に複数個の寄生蜂卵を移植し, 最終的に羽化する寄生蜂成虫の数を調べた. いづれの種においても, 1匹の寄主からは1匹の寄生蜂が羽化した. 即ち, これらの寄生蜂は典型的なコンテスト型の種内競争をすることが判った. 次に同様の実験を, 2匹の寄生蜂幼虫の寄主への移植時期を違えて, どちら(先着者, 後着者)が羽化するかを調べた. 移植の間隔が72時間以上の場合は先着者が資源(寄主)をほぼ利用しつくし, 後着者は羽化出来なかった. しかし, 48時間の移植間隔では後着者が先着者を攻撃し, 最終的には後着者が羽化した. 即ち, 干渉型, 消費型の両競争形式がいづれの種にも存在することが証明された. 来年度には同様の実験を, 種間競争について行ない, 種内競争での機構が種間競争にも当てはまるかを見たい.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] fujii, K.: J. Appl. Entom. Zool.
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[Publications] Fujii, K.: Res. Popul. Ecol.