1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540495
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 琢哉 京都大学, 理学部, 助教授 (00045030)
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Keywords | 亜熱帯林 / 森林の更新過程 / マングロ-ブ / シロアリの役割 / 共生原生動物 |
Research Abstract |
前年度にひきつづき西表島に設置した方形区内におけるマングロ-ブ植物の枯死過程を追跡し、その過程に及ぼすコウシュンシロアリの影響を調べた。多くのオヒルキ稚樹が枯死するのが観察されたが、その主要な原因は光量の不足など無機的要因によるものと思われ、稚樹の枯死過程にコウシュンシロアリは関与していなかった。オヒルギの成樹でも多くの枯死枝が形成され、そこにはコウシュンシロアリが営巣し、あるものは生きている組織にまで侵入したが、樹木を枯死させる上で役割を果しているとは思われなかった。 亜熱帯林に生息するシロアリの生活史戦略を解明する一環としてヤマトシロアリの消化管内に共生する原生動物群集の分析を行った。消化器内から5属11種の超鞭毛虫が見出された。シロアリ各固定の消化管を原生動物にとっての1つのhabtatとしてとらえ、そこに11種の超鞭毛虫から構成されている群集が成立しているとの観点に立って、habitat内およびhabitat間の組成・多様度・類似度について検討を加えた。その結果、シロアリはステ-ジ3になって消化管内に共生原生動物をもつこと、職蟻・兵蟻間で原生動物の組成に著しい違いがないこと、職蟻の異なる会間でも種の多様度に著しい違いがないことが示された。 またこれまでの西表島におけるシロアリに関する研究をまとめて、亜熱帯森林のシロアリの分布と密度を報告した。さらに世界におけるシロアリの生態学的研究をまとめて「シロアリの生態」として出版した。
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[Publications] 阿部琢哉: "亜熱帯森林のシロアリの分布と密度" 家屋害虫. 11. 43-50 (1989)
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[Publications] 阿部琢哉: 東京大学出版会, 156 (1989)