1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540616
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿園 直建 東京大学, 理学部, 助手 (10011751)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 正明 東京大学, 総合研究資料館, 助手 (50162714)
藤本 光一郎 東京大学, 理学部, 助手 (80181395)
島崎 英彦 東京大学, 理学部, 教授 (50013751)
|
Keywords | 鉱床 / 鉱脈鉱床 / 黒絋鉱床 / 金 / 安定同位体 / 水 / 岩石相互作用 / 金鉱床 / 生成機構 |
Research Abstract |
本邦金銀鉱脈鉱床はエピサーマル鉱床とハイポノメソサーマル鉱床に分けることができる. エピサーマル鉱床についてはその鉱石鉱物(エレクトラム閃亜鉛鉱)の化学分析や流体包有物の研究を行い, 生成環境の推定, 生成機構の考察を行うことができた. 起源に関しては, 重要な鉱床の硫黄同位体組成を分析し, 硫黄の起源を論じた. 金銀鉱脈鉱床の硫黄の起源としては鉱床地域の火成岩が考えられる. エピサーマル重金属鉱脈鉱床や黒鉛鉱床の硫黄の起源としては「火成岩+海水」が考えられており, これらの鉱床の硫黄の起源とは異なると思われる. また炭酸塩鉱物の炭素と酸素の同位体比をはかり, これらの起源についても論じることができた. ハイポノメソサーマル鉱床についても, 主要な鉱床の鉱石鉱物(エレクトラム, 閃亜鉛鉱)の化学分析, 流体包有物の研究を行い, 生成環境の推定を行った. そしてエピサーマル鉱床とこれらの鉱床の特徴の比較を行い, 地質学的, 地球化学的環境が明確に異なることが明らかにされた. 以上の両タイプの鉱床の鉱物学的, 地球化学的特徴と他のタイプの鉱床(黒鉛鉱床, スカルン鉱床等)との特徴の比較を行い, これらの鉱床を"硫化物にとむ鉱床"と"硫化物に乏しい鉱床"にわけ, 両タイプの鉱床が異なる地質条件, 時代に生成されていることが指摘された. 両タイプの鉱床の本質的差は, 生成の場の相違であり, "硫化物にとむ鉱床"は比較的浅くガスが逃げやすい場であり, "硫化物に乏しい鉱床"は深所で生成され, ガスの逃げにくい環境で作られたということである.
|